技能実習制度は現代の“奴隷労働”と言われている(写真:ロイター/アフロ)

 4月28日、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する政府の有識者会議が行われた。昨年12月から始まった会議は今回で7回目を数える。5月11日にここまでの議論を踏まえた中間報告書が法務省に提出された。

 これに対して異議を唱えるのがNPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)だ。翌日12日、移住連は「『廃止』をまやかしに終わらせるのではなく、奴隷労働構造の根絶を」との声明を発表した。

 政府の有識者会議で語られている内容には、どんなまやかしがあるのか。移住連の共同代表理事、鳥井一平氏に話を聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

(全2回の#1)
◎【後編】「現代の“奴隷労働”とされる技能実習制度に潜むマッチング機能という利権」(6月5日公開予定)

※技能実習:開発途上国の人が対象。現場での実習を通して日本の技術を学んでもらい、祖国で活用してもらうことを目的としている。
※特定技能:人材の確保が困難な産業分野に専門性や技術を持つ外国人を受け入れることを目的としている。一部の条件を満たせば転職や家族の滞在も可能になる。

──技能実習生は「現代の奴隷」などとも言われてきました。あらためて、技能実習生の置かれている現状について教えてください。

鳥井一平氏(以下、鳥井):技能実習制度そのものが奴隷労働構造だと言えます。見えない手枷足枷があり、自由に仕事をやめる自由がない。奴隷労働をやめることが民主主義の一つの約束ですが、今でも転籍の自由を持たない労働者は奴隷状態です。

 経営者は採用時に労働者を選ぶことができる。しかし、労働者も経営者や会社を選ぶことができる。これが労使対等の原則です。労働者が職場で追い詰められたら、もうその職場に行かないというのが労働者の最後の権利です。

 でも、技能実習制度では、それが不可能に設定されている。30年間、この奴隷労働構造は変わりませんでした。

──技能実習生は勤める先や職種によって、収入には幅があるものなのでしょうか。

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