東京・上野にある鈴本演芸場(写真:アフロ)

 コロナ・イヤーのクリスマス・プレゼントとして(気の)若い世代に向けて、創造性を伸ばす教育のコツを「落語」を例にご伝授いたしましょう。

 本稿を準備し始めてから、かつて「笑点」レギュラーであった「林家こん平」氏の訃報がもたらされました。長年闘病生活が報じられていましたが、ご冥福をお祈りしたいと思います。

「落語家の」と報道されるのですが、私は「林家こん平」氏の「落語」に印象がありません。

 かつて、落語協会が分裂騒動に陥った際の三遊亭圓生関連の書籍で、師匠の林家三平から落語をほぼ一切習わなかったこと、明るい性格でタレントとして人気が出たこと、真打昇進の時点でそれらを指摘されてもいたことなどを目にした記憶があります。

「落語家の」といっても、落語を演じることはほとんどなかった後半生・・・いや、もしかすると人生の過半であったのかもしれません。因果なものを感じます。

 これと同様のことを「教育」や「研究」「イノベーション」にも指摘でき、経済に直結していますよというのが、本稿のオチなのですが・・・ まずは「まくら」から。

「かっかっかっかっ 掛布さん」

 三遊亭圓丈という落語家があります。昭和19年生まれ、現在76歳で、すっかり大御所の年配ですが、現在でも、記憶が弱くなったと、台本と見台を高座に持ち込んで、新作落語を演じ続けている。

 まぎれもなく「落語家」の三遊亭圓丈、という生きざま、見事なものだと思います。

 さて、古い話ですが、1980年代初頭に記憶のある、現在40代以上の読者には「かっかっかっかっ 掛布さん 蚊にキクものは なんでしょう?」というCM(https://www.youtube.com/watch?v=sdxDKPy4Vr4)をご記憶の方もあろうと思います。

「金鳥蚊取りマット」CMでの、まだ圓丈になりたて、30代半ばの噺家と、阪神タイガース掛布雅之選手とのやり取りです。

 1981年だそうですから、年が明けると、もう40年前になるのですね。遠い目になってしまいます。

 さてこの圓丈師。先ほども記した通り「新作落語」で知られます。