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 もう一度、足元を見つめ直す必要性があるのではないか。北海道日本ハムファイターズの現状についてである。

 4日の契約更改交渉を終えた有原航平投手が会見の席上で来オフ、ポスティングシステムを利用してメジャーリーグへ挑戦する希望を球団側に伝えたことを明言。プロ5年目の今季は近年のような好不調の波にさいなまれることなく自己最多の15勝をマークして最多勝のタイトルも獲得し、キャリアハイの防御率2・46で十分な活躍だった。もともとメジャー志向が高く来年8月で28歳になることを考えれば、タイミングとしては理想的と言えるかもしれない。入団1年目で新人王に輝き、ここまで3度の2けた勝利を飾ってきた右腕の実績からするとメジャー球団も確かに放ってはおかないだろう。

 ただ来オフに関しては、来季から主将に就任する有原と同い年の西川遥輝外野手も「早ければ早いほうがいい」とポスティングシステムによるメジャー挑戦を直訴している。堅実な打撃に加え、盗塁王を3度獲得した来季入団10年目のスピードスターにもメジャーの複数球団が早速調査に乗り出しており、海を渡ることになれば争奪戦になりそうな気配だ。

主力選手のメジャー挑戦で空いた穴を埋められぬ恐れ

 チーム勝ち頭のエースとリーグを代表するリードオフマンの2人が一気に抜けるとなると、大幅な戦力ダウンは必至。それでも日本ハムは来オフの放出を念頭に入れているようだ。

 戦力に関連する要素を細かに数値化した独自のデータベース「ベースボール・オペレーション・システム(BOS)」を駆使しながら「スカウティング」と「育成」に重きを置くのが、日本ハムの基本方針。かつて本人たちの意向を尊重する形でチームのスターだったダルビッシュ有投手や二刀流の大谷翔平選手をメジャーへ放出し〝新陳代謝〟を図ったのも、その一環だ。球団側は有原と西川の来オフ移籍の可否について明言こそ避けているが、こうした過去の例を鑑みると容認する可能性は高いだろう。

NBA観戦に訪れ、ワシントン・ウィザーズの八村塁とともに写真におさまる大谷翔平(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)