巨人の原辰徳監督(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 いつになく大人しいオフシーズンになりそうだ。プロ野球・巨人のことである。

 例年ならばストーブリーグで主役となってFA権を取得した選手をかき集め、大金を投じて選手補強にまい進するのがお決まりのパターンだった。ところが今年のオフは今のところ新外国人選手でヘラルド・パーラ外野手(前ワシントン・ナショナルズ)を獲得した以外、他球団から移籍する新戦力補強の発表はない。フロントは「今後(海外も含め)FA権を行使した選手の補強はない」ことを示唆しており、球界を仰天させるようなサプライズの新戦力獲得はまずなさそうだ。

美馬獲得失敗で炙り出された内部の不満分子

 今オフも十八番の巨大補強に動くと見られていた巨人は、一体なぜ〝台風の目〟にならなかったのか。総じて言えば、球団として「新陳代謝」の大変革を期する決意を固めたことが最大の理由だ。そして、そこに至るまでの背景には次のような流れがある。

 確かにオフシーズン突入当初はFA宣言した美馬学投手(前東北楽天ゴールデンイーグルス)と鈴木大地内野手(前千葉ロッテマーリンズ)のダブル獲得を目指していた。しかしながら美馬はロッテへ、鈴木も楽天へ入団が決まり、巨人はFA戦線で惨敗を喫する格好となった。特に美馬に関しては原辰徳監督自らが直接出馬して本人と交渉の場を持ちながら実を結ばなかったことで赤っ恥をかかされてしまったようにも映る。それでも各メディアがジャイアンツの惨敗ムードを煽っている割に当の巨人側には実際のところ、そこまでの焦りは見られない。

 ちなみに複数のメディアで報じられているように球団内部の〝異分子〟が美馬に対し、あえて巨人側に不利になるような情報を流していた前代未聞の疑惑も明るみに出ている。こうした背信行為についてはフロントだけでなく原監督をはじめとした現場サイドも確証をつかんでおり、断固たる態度で近々にも粛清に動く方針のようだ。