つまり、全体でいえば高齢女性が増え、出産可能な女性は今後減り続ける。今後の若者の結婚問題、出産問題をめぐる環境がどれほど深刻かもわかるだろう。

 一人っ子政策を撤廃しても人口増に転じないのは、教育費に金がかかるなど若い夫婦の経済状況がネックになっている面も大きいが、なにより大きいのは、結婚できない男性が増え、出産可能な女性の数が急激に減り、しかも彼らのマッチングがなかなかうまくいっていないことだ。都市の方が女性は多いが、都市生まれ・都市育ちの女性は農村男性と結婚したがらない。自然、農村で一生結婚しない男性が増えていく。農村人口が近いうちに急減期も入る可能性があり、そうなると農業崩壊による食糧自給減や低賃金で都市インフラを支える低層の労働者不足といった経済の問題も顕在化してくるとみられている。

 ちなみに結婚適齢期にあって結婚していない人口は2015年の統計で2億人。1990年で独身率6%であったが2013年にはそれが14.6%に上昇、今はさらに上昇していると見られている。

人口のマイナス成長はいつ始まるのか

 中国は建国以来、ずっと人口膨張の方をおそれていた。人口が増えれば、誰がその膨大な中国人を養っていくのか、と。

 2006年、一部の人口学者たちが少子高齢化に警鐘を鳴らし始めたときですら、党中央政治局では「今後十数年、人口増加の趨勢が依然強く続き、毎年800万~1000万人ペースで人口が増えていくであろう」と強い警告が出されていた。党中央が人口増加をおそれ一人っ子政策に固執したのは、人口抑制政策を実行するために設けられた計画出産委員会に属する多数の公務員・官僚たちが、自分たちの利権を守るために、人口学者たちの忠告を無視していたから、という指摘もある。当時、「超生」(一人っ子政策に違反して多く子供を産むこと)の罰金の多くが使途不明になっており、地元役人や官僚たちのポケットに入っていたと見られている。

 2015年に一人っ子政策を撤廃したのは、失政の多いといわれる習近平政権による数少ない英断だと言われているが、それはすでに遅すぎたということかもしれない。

 国家統計局の公式発表前に、社会科学院人口研究所が「人口・労働緑皮書」というリポートを発表しているのだが、それによれば現行の出生率、1人の女性が生む子供の平均数が1.6というレベルのままであれば、人口のマイナス成長は2027年に始まるという。しかも現行の出生率1.6を維持するのは実はすでに困難で、出生率は今後1.2あたりにまで下がるという予測がある。また、著名な人口学者、黄文政は「もし、ここ数年の人口動態データが正確であるならば、2023年、あるいは2024年頃にも人口マイナス成長期に突入する」と21世紀経済報道紙のインタビューに答えている。