「アラブの春」が起きる可能性が出てきたサウジアラビア

経済危機のサウジを原油価格「40ドル割れ」が直撃か

2019.01.04(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55103
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 実体経済の急速な悪化により金融機関もかなり痛んでおり、銀行再編の動きが活発化している(12月25日付ブルームバーグ)が、「喉から手が出る」ほど金がほしいサウジアラビア政府は、銀行に対し45億ドル規模のイスラム税を徴収することを決定した(12月21日付ブルームバーグ)。「弱り目に祟り目」である。

 マクロ経済が悪化しているにもかかわらず、サウジアラビアの株式指数はなぜか堅調に推移している。UAEのドバイ株価指数は原油価格の下落などで25%下落し世界の主な株式指数の中で最悪のパフォーマンスとなっているにもかかわらずに、である。その理由について12月18日付英紙オブザーバーは「ムハンマド皇太子が株価操作を行っている」と報じているが、これが正しいとすればサウジアラビア経済はかなり危険な状態にあるのではないだろうか。

「ない袖を振れない」サウジアラビア

 国連の仲介によるイエメン内戦の停戦が12月18日から実施されたことによりサウジアラビアの軍事予算の拡大に歯止めがかかると思われた矢先の19日、シリアからの米軍撤退を決定したトランプ大統領はツイッターで「サウジアラビアは米国に代わってシリアの再建費用を賄うことに合意した」と述べた。

 サウジアラビアを巡る現状への不満の高まりを反映して「予算の大半がトランプ大統領とサウド家によって使われている」と揶揄する内容の風刺画が国内外で拡散している。

 筆者が驚いたのは中東メディアが「在サウジアラビア米国大使館がツイッターに動画メッセージを寄せ、『変化を起こす最も効果的な手段は平和的な抗議デモである』とサウジアラビア国民にデモ開催を呼びかけた」と報じたことである。

 このメッセージについて「サウジアラビア国内での騒乱を起こすためのゴーサインだ」「米国式の虚偽の民主主義は抑圧された人々の流血をもたらしただけだ」などの様々な反響が生まれているが、非常にタイミングが悪いのではないだろうか。

 米国大使館の意図は定かではないが、今後「第2のアラブの春」が生じた場合、「ない袖を振れない」サウジアラビアが再び「対岸の火事」でいられる保証はない。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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