需要低迷の暗雲が漂う原油市場

米中経済がともに低調、原油の供給削減は「焼け石に水」か

2018.11.23(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54740
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米WTI原油先物価格は12日連続の下落(史上最長)を経た後、1バレル=50ドル台前半から半ばのレンジで推移している。

 原油価格が10月上旬から30%下落したことに慌てたサウジアラビアをはじめとするOPEC諸国は12月6日の総会で減産を協議する意向を表明したが、上値が重い展開が続いている。

世界の原油市場は来年いっぱい供給超過に?

 まず足元の供給の状況を見てみたい。

 世界第1位の原油生産国となった米国の原油生産量の伸びが止まらない。10月の生産量は前月比10万バレル増の日量1170万バレルと史上最高を更新し、来年の生産量は同1210万バレルになる見通しである。

 次にロシアだが、10月の原油生産量は前月比5万バレル増の日量1141万バレルとソ連崩壊後の最高を更新し、来年初めにかけて同30万バレル増産する構えを見せている。

 OPECの10月の原油生産量はほぼ横ばいだった。イランの生産量が前月比日量15万バレル減の329万バレルとなったものの、サウジアラビアの生産量は減産前の水準を上回り(日量1063万バレル)、アラブ首長国連邦(UAE)の生産量は過去最高となっている。減産の適用除外となっているリビアの生産量は2013年6月以来の日量110万バレルにまで回復した。OPEC第2位のイラクは2019年の生産能力を現在の日量460万バレルから500万バレルする計画である(11月6日付ロイター)。

 イラン制裁の再開を材料に1バレル=77ドルまで上昇したが、米国の予想外の適用除外措置に加え、米国産原油の予想外の増加で急落した原油価格、乱高下した要因はすべて米国発である(11月15日付OILPRICE)。

 米国の要請で増産したサウジアラビアやロシアも気付いてみれば供給過剰に逆戻り。国際エネルギー機関(IEA)は11月14日、「世界の原油市場は来年いっぱい供給超過になる」との見通しを明らかにした。

 世界の原油在庫も再び増加に転じている。OECD加盟国の9月の原油在庫は前月比1210万バレル増の28億7500万バレルとなり、第3四半期全体では5810万バレルと2015年以来の高い伸びとなった。

 原油価格に最も影響を与える米国の原油在庫も8周連続で大幅に増加したことから、2017年12月以来の高水準となった。米国の在庫増を食い止めるためだろうか、サウジアラビアの米国への原油輸出量は、8月の日量100万バレル超から11月に入ると同60万バレル台に急減している。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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