だとしたら、アマゾンを皮肉ったり批判したり、こうあるべきだという意見を言うよりは、池上彰氏が番組で使っているような、ただ事実だけを伝えるという手法と同じにしようと思ったんです。だからこの本ではアマゾンをいいとも悪いとも書いていません。今後どうなるかも書いていない。ただ池上氏と同じで、皆さんのあんまり知らないだろうことを書きました。

 イベントや映画のチケット予約、意外と面倒くさいですよね。こういう時にアマゾンにサービスがあったらすごく便利かもしれない、と思いませんか。

 たとえば「成毛 amazon」と検索したら、この本と一緒に今日のイベントも出てくる。行こうと決めてボタンを押すと、そのままアマゾンに飛んで決済できる。

 こんなに簡単にアマゾンで予約できたら、イベントのケアをやっている会社はつぶれると思いません? 私は瞬殺されると思います。映画は複雑なシステムですから別ですが、イベント関連は危ない。ただ、アマゾンはこのことに気がついていないかと思います。

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 そういう類いのことがこれから起こるんだろうと思うんです。そうなると、アマゾンがこれから始めようとする事業に関連する、吸収されたりつぶれそうな会社の株式を当然空売りするべきだし、そうすればすごくもうかります。それを可能にするアマゾンという会社は一体何なのかを、具体的に書こうというのが、この本の目的なのです。

巨大な時価総額

 アマゾンというと、まずは書籍販売を思い起こすわけですが、出版社にとっては、アマゾンは味方じゃないかもしれないけど敵でもない。書店にとっても、味方じゃないけど敵でもない。実はスーパーマーケットも同じように思っているふしがあります。

 本の中に詳しく書きましたが、アメリカの小売業におけるネット通販のシェアは、実はそれほど大きくなく、10%ぐらいだと思います。残りは現場の小売りなんですね。さらにアマゾンはそのうちの4~5割ぐらいしか持っていませんから、ものすごく小さいんです。だから、実際に独占禁止法を適用させようとすると、やれるならやってみな、ぐらいの大きさでしかない。

 それもあって、ポイントとしては、アマゾンは一体、本当の脅威なのかどうかわからない、というところから始まります。

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