どういうことかというと、結局アマゾンは物を預かっているわけですから、物を預けている会社に対して、例えば在庫管理だとか、マーケティングだとか、そういうサービスを提供することができるということなんです。

 そこまでは普通だと思うんですが、その次に始めたのが「レンディング」でした。つまり、アマゾンの倉庫で預かっている第三者の会社の商品在庫について、何がいくつあるかアマゾンは全部把握しています。アマゾンがうんと言わなければ出荷できませんから、これは鍵のかかったところに品物があるということを意味します。全世界の倉庫の中の品物の総量は恐らく20兆円とか30兆円分ぐらいあるはずですから、その在庫を担保にお金を貸すことを考えると思いません? これを「動産担保融資」と言って、動産を担保にした融資ですから、借りるほうも別に不動産とか命を担保にするわけではない。だめならその商品を安く買い取ってもらうだけの話ですよね。アマゾンは、その商品の6掛けとかでお金を貸しますよ、ということを始めている。これを「アマゾンレンディング」と言います。

 そのアマゾンレンディングを行う場合、日本だと日本の金利になりますよね。今だとゼロ金利。そこでアマゾンが超低金利の日本でお金を調達して、中南米かどこかの倉庫の動産を担保にして貸し付けると、20%ぐらいの利ザヤが稼げることになり、それはもうかりますよ。ですから、動産担保融資をやっている企業、または「エスクロー」というサービス(売り手から商品の、買い手から代金の預託を受けて取引を成立させるサービス)を取り扱っている銀行といった業者は、デス・バイ・アマゾンのトラップに引っ掛かる可能性が必ず出てきます。

 実は、ぼくがインスパイアという会社を興したときは動産担保融資もやっていたんです。「アセット・バック・レンディング」と言うものです。最初に取り組んだのが、冷凍のうなぎ。これは結構お金を貸しましたね。セットアップして、冷凍うなぎを持っている会社と銀行との間に入って、ペーパーワークしているみたいなイメージです。それでも規模的には40億円から50億円ぐらいいきました。もしあの時にうなぎを持っていた会社がつぶれたら、うちにうなぎの現物がものすごく来て、どうしようという話になっていたと思う(笑)。これは「うなぎ・アセット・バック・レンディング」と呼んでいました

 次にやったのが、「冷凍イチゴ・アセット・バック・レンディング」。イチゴの最大の消費月はケーキ需要がありますから12月で、年間消費量のほぼ4割になります。でも採れるのは春ですから、当然、冷凍イチゴです。そのときもつぶれたらどうなるんだろうと思いましたけどね(笑)。

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