この動産担保融資は、セットアップも銀行とのやりとりも結構面倒くさく、その割に規模は小さいんですが、地球レベルでやるとすごい金額になるんだということに、アマゾンは気がつき始めた。楽天は自分の倉庫がないですからできないんです。

莫大な設備投資

図2

 次はアマゾンの事業規模(図2)。これを見ると、意外と小さいですね。ですから、あんまり問題にならないように見える。これが10兆円規模になってくると、いろいろと言い出す人が出てくるのでしょうが。

 でもたぶん、10兆円にはしないと思います。物流が間に合わないですよ。10兆円にならない理由は、そういう限界があるんだろうということだと思います。もしも限界を外そうとしたら、自分で物流を始めるしかないですが、それはさすがにやらないんじゃないかと思います。20年もしくは10年ぐらい前だとまだ失業率が今ほど低くないので、人が寄ってきますが、今はなかなか難しいんじゃないでしょうか。

 次は純利益の比較です。これは、ものすごく質素です。低い。にもかかわらず、株式的には評価されているわけです。

 アマゾンは株の配当を払ったことが1度もないということをご存じの方も多いと思いますが、それは本当にこの純利益がすごく低く、純粋に配当に回せるお金がないということなんです。ではどうして低いかというと、自分が売り上げた利益を全部設備投資に使っているからなんです。

 設備投資にどのぐらいお金を使ったかというところで見ると、少なくともソフトバンク並みにはもうかっているわけですね。

 アマゾンのキャッシュフローを見るとわかりますが、フリーキャッシュフローがすごいいきおいで伸びてきています。純利益は2016年ぐらいから少し出してきましたけど、それ以前はほとんど出てこないにもかかわらず、キャッシュフローがすごいいきおいで上がってきている。すでに1兆円になりますよね。恐らくこれから先は毎年、1兆円以上ずつ投資にまわしてくると思うんです。その投資は、倉庫とサーバーをつくるための設備ですし、来年は半導体工場を持つと思います。

※新潮社フォーサイトの「成毛眞『amazon』肴に「アマゾン」を語る(下)」につづく

成毛眞
中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年マイクロソフト株式会社に入社。1991(平成3)年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。さまざまなベンチャー企業の取締役・顧問、早稲田大学客員教授ほか、「おすすめ本」を紹介する「HONZ」代表を務める。著書に『本は10冊同時に読め!』『日本人の9割に英語はいらない』『就活に「日経」はいらない』『大人げない大人になれ!』『ビル・ゲイツとやり合うために仕方なく英語を練習しました。 成毛式「割り切り&手抜き」勉強法』など(写真@岡倉禎志)。

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