チベットの悲劇

 チベットは元々人口約600万人の独立国であったが、中国共産党に攻め込まれ一説によるとその住民の内(5分の1にあたる)120万人が殺戮され、今は中華人民共和国のチベット自治区に編入されている。

 古来敬虔な仏教国で、人々は平和裏に暮らしていたが、軍事力を持たない無防備な国体であった。

 世界的にも有名な仏教寺院(写真:ラサポタラ宮)などが多く、人々の信仰を集め膨大な財宝が蓄積されていたと言われている。

 チベットはこれを狙った中国共産党軍に侵略され、乱暴狼藉の限りを尽くされて悲惨な目に遭った(現在も継続中)。

 この例を両国の軍事的な側面でとらえると、完全な非対称になっており、強力な軍隊を持つ国家が無防備な国家を蹂躙した事実として歴史に残る。

東トルキスタンの悲劇

 上記チベットと同様、東トルキスタンも軍事力は取るに足らない程度であったが、豊富な地下資源の宝庫であるとされている。

 ここに目をつけた中国共産党軍に蹂躙され、新疆ウイグル自治区として中華人民共和国に編入されてしまった。

 そして、民族の浄化という壮絶な弾圧が加えられるとともに、多数の住民が住む地域を原水爆実験場にしてその殺戮効果を試すという恐ろしいことが行われたと言われている。これも、軍事的に圧倒的な非対称状態であった国家間で生じた悲劇である。

国内における住民の非対称状態

 日本は人類史上で奇跡的とも言われる単一民族国家を継続しており、古来上下格差、経済格差が少ない平穏な状態を継続してきた。

 いわば、国民相互の関係は概ね対称性が保たれ、許容限度を超えた上下の相克が少なく、穏やかな世相が形成されていると言えよう。

 しかし、広く世界を見渡すとこのような国家は希で、一部の上流階級が権威を持って下級民を弾圧あるいは搾取し、莫大な資産を独占するという許容限度をはるかに超える格差すなわち非対称な状態にある国が多い。

 このような国々では常に不正が蔓延り、政治状況は不安定で暴動・反乱の危険が常在する。

 多くの欧州諸国においては約半世紀程前まで経済格差問題や人種問題も比較的少なかったが、賃金の安い移民を大量に導入したため、今となっては新旧住民の間に複雑な非対称状態が顕在化している。

 その結果、取り返しのつかない社会格差が生じ、宗教的な慈悲の精神と人権問題の葛藤で揺れ動いている。