その後、私はこの原理に魅了され、波動だけでなく、いろいろな社会現象や機械的運動をする分野に非対称性を適用または活用すると新たな応用ができる利点を見出した。

 例えば(防衛関係の研究なので細部は記載しないが)、万が一外国の軍が我が国に侵入した場合、国内に準備した仕かけを活用して非対称を作為した有利な戦闘方法(ランチェスターのゲリラ戦モデルを活用)を考案した。

 また、小型軽量化が要求される航空機の翼コントロール用として(弁を使わない)油圧ポンプ、ロボットアーム用小型多機能アクチュエータなどを試作し、面白い機能を発揮させることができた。

 これらはすべて非対称が一方向に作用する特性を生かした流動性や運動を誘起させる原理であるが、このメカニズムを戦闘方法や機器に応用すると従来とは一味違う活用分野を見出すことができると思う。

 一方、対称的なものは一般に静的で安定した特性があり、人の心を和らげてくれる美しい物が多い。

フランスのシャンポール城

 例えば史跡では五重の塔、平等院鳳凰堂等の日本建築、エジプトのピラミッド、フランスのシャンポール城(右図)、モンサンミッシェルなど世界的に有名な造形物を見ると、その美しさに感動を覚えると共に心休まる気持ちになる。

 また、日本が誇る富士山はコニーデ式の火山で対称的な山容を天空に聳えさせた単独峰は、その美しさが際立っていると言えよう。(右下図)

対称と非対称の現実的な事例

逗子海岸から江ノ島、富士山を望む

 次に前述した内容について対称と非対称の具体的な例を考えてみることにする。

大坂城冬の陣(1614年)、夏の陣(1615年)について

 江戸時代初期、豊臣方と徳川方の大坂城を巡る攻防戦における冬の陣(1614年)では、大坂城の防備があまりにも堅固で徳川方は大軍で攻略したものの歯が立たず家康は軍を引き上げるしかなかった。

 しかし、その後、天下を取っていた徳川は「平和裏に国を治めるから」と甘言を弄して交渉し「強固な城塞はもう必要ない」とし、和解の証として外堀を埋めさせた。

 そして丸裸同然になった大坂城は翌年の夏の陣(1615年)であえなく落城の憂き目を見ることとなった。

 この事実を対称形、非対称形としてみてみよう。

 冬の陣では、両軍の戦いは野戦軍に対する城砦守備軍と言う形の違いはあれ、戦闘力的には対称形と見做され攻撃側の動きが封じられた。

 それに対して外堀を埋められた大坂城を巡る夏の陣では、攻撃軍の戦力と大坂城の防御能力は非対称性が顕著となり落城すべくして落城したものである。