アベノミクスは「究極の現実逃避」「史上空前の大失敗」だ。──『アベノミクスによろしく』(集英社)の著者である弁護士の明石順平氏はこう看破する。アベノミクスに対して世の中では、疑問を呈する声もあるが、おおむね結果を出していると評価する声が一般的だ。ところが明石氏が政府や国際機関による公式発表データを精査したところ、とんでもない現実が見えてきたという。ほとんどの人が気づいていないアベノミクスの真の姿とは?(JBpress)
アベノミクスとは何か?
アベノミクスは、(1)大胆な金融政策、(2)機動的な財政政策、(3)民間投資を喚起する成長戦略の「3本の矢」からなる経済政策と言われています。しかし、事実上は(1)の大胆な金融政策に尽きると言っていいでしょう。
大胆な金融政策というのは、日銀が民間銀行等から大量に国債を購入し、お金を大量供給することです。「異次元の金融緩和」と言われています。ピーク時において、年80兆円のペースでマネタリーベースが増加するよう、買入をしていました。今は少しペースが落ちています。
マネタリーベースというのは日銀が直接供給するお金です。現金通貨(紙幣と貨幣)と日銀当座預金(民間銀行が日銀に預けているお金)からなります。ざっくり言って「お金の素」と考えればいいでしょう。このマネタリーベースの対名目GDP比の推移をアメリカと比較したのが下のグラフです。アメリカとは比較にならない超異次元の規模であることがよく分かるでしょう。
(『アベノミクスによろしく』図1-3と同じデータを使用)
(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の図表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53467)