3日逮捕されたマレーシアのナジブ前首相の自宅などから押収された世界の超高級ブランドの時計の数々(マレーシア国家警察提供)

 マレーシアのナジブ前首相(以下、ナジブ氏)が3日、政府系投資会社「1MDB」に関連した公金不正流用疑惑などで、ついに逮捕された。

 同事件では、ナジブ氏が首相在任中に同投資会社から約7億ドル(約780億円)を不正に受領していた疑惑だけでなく、家族や関係者を含め約45億ドル(約4900億円)にも上る公的資金を横領したと見られてきた。

 4日、裁判所に出頭したナジブ氏は、1MDBの公的資金を不正に受領したなどの背任罪などで起訴されたが、 全面的に無罪を主張。

 「マハティール政権による政治的報復で、身の潔白を明らかにする」と来年2月に予定される公判で、徹底抗戦を張ると主張した。

 本コラムでは、2015年3月、ナジブ氏の同不正流用疑惑に関して、日本のメディアで初めて報道して以来、同事件の連載を通じ、疑惑の真相追及に迫ってきた。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43250、マレーシア政府系投資会社の巨額不正疑惑が明るみに、http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43277、マレーシア首相一家と蜜月 大富豪ジョー・リーの謎、http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50575、世界のスーパースターの汚染が明るみに)

 米国、スイス、香港、シンガポール、ケイマン諸島(英国領土)など世界6か国を舞台に展開されたこの国際的なマネーロンダリング事件。

 2016年、2017年、米国が「米国史上最大の泥棒政冶による公金横領事件」と糾弾し、民事訴訟を起こす中、マハティール首相が選挙戦での公約通り、5月の政権交代直後から大捜査線を張り巡らせてきた。

 一方、ナジブ氏は米国の著名な弁護士を雇い、個人口座に振り込まれた資金に関し、「サウジアラビアの王室による個人献金」と主張し、一貫して疑惑への関与を否定している。

 しかし、捜査当局は5月中旬からナジブ氏の複数の私邸など関係先を捜索し、6月27日、押収した宝石類、現金、高級ブランドのバッグや時計などの総額が約2億2500万ドル(約250億円)に上ることを公表。

 警察は「史上最大の押収額」と驚きを隠さない。