アリババ馬雲氏、日本の若者に起業を語る

25日、早稲田大学で学生らと対談するアリババ集団の馬雲氏。(2018年4月25日撮影)。(c)新華社 〔AFPBB News

 「マハティール首相は偉大な人。実は首相こそが、私に20年前、中国で初のインターネットの会社(アリババ)を起業する“ひらめき”を与えてくれた人なのです」

 中国最大手の電子商取引(EC=Eコマース)のアリババ集団(阿里巴巴)創業者、ジャック・マー氏(馬雲)は18日、首都・クアラルンプール市内に開設した東南アジア初の同社の海外事務所の開所式で、マハティール首相を絶賛した。

 開所式を前に、マハティール首相と1時間ほど会談したマー氏は「92歳とは思えないITに関する詳細な知識と情報をお持ちで驚愕した」とさらに持ち上げた。

 マハティール首相が就任後初の外遊先で日本を訪問して以来、1週間ほどで中国は習近平国家主席と太いパイプがある“特命全権大使”をマレーシアに送り込んできた。開所式には当然、駐マレーシアの中国大使も臨席。

 そもそもマー氏が言う“ひらめき”とは、マハティール首相が1996年に創設した「マルチ・メディア・スーパーコリドー(MSC)」のこと。

 アジアでのIT先進国を目指したMSCのもと、最先端のインフラによる都市整備を図る一方、大胆な規制緩和や優遇措置などを盛り込んだ経済開発政策を打ち出した。

 代表的なものとしては、マレーシアの霞が関こと、首相官邸や各省庁舎が並ぶ行政都市のプトラジャヤへの移転、ハイテク企業団地が集積するサイバージャヤ、さらには当時、クアラルンプールの新しい空の玄関として開発された現・クアラルンプール国際空港、そして空港に隣接するセパン・サーキットなどが挙げられる。

 マー氏は「アリババを創業しようとしていた1995年ごろ、人と社会に貢献するIT事業をどう立ち上げたらいいか迷っていたが、そのときニュースでMSCを知った」と言う。

 「そのとき、これだ!とひらめいた。アジアの同じ国、マレーシアでできることは中国でもできると思った。マハティール首相のMSC提唱がなければ、今のアリババはない」と力説した。

 今回、東南アジア初のアリババの海外事務所開所式には、リム財務相やゴビンダ・マルチメディア・コミュニケーション相ら内閣要人が出席。マハティール首相は首相府で個別にマー氏に会ったものの、当初、マー氏と会うか、疑問視されていた。