「マレーシアにとって、国益にかなっているかどうか、再検討する」――。
61年ぶりに政権交代を果たしたマレーシアのマハティール新首相は12日、クアラルンプール郊外で記者会見を開き、筆者の次のような質問に対して、そう答えた。
「マレーシアには中国の一帯一路の下、約40の関連プロジェクトがある。特に、東海岸鉄道計画(ECRL)やマレーシア-シンガポール間の高速鉄道計画(HRL)に代表されるような大規模プロジェクトなどを押し進めますか。マレーシアにとって有益でしょうか」
それに対してマハティール新首相は、「世界のあらゆる国と同等で、フレンドリーな外交関係を構築したい。特定の国を利することはないだろう」とバランス感覚のある外交を展開すると前置きした上で、
「外資による事業全般の調査を行い、再検討する」とECRLや HRLの計画を見直すことを新政権発足後、初めて公式に表明した。
マレーシアは「一帯一路」関連で、中国から約1350億ドル(約14兆9000億円)以上の規模のインフラ整備事業を受け入れており、アジア域内で中国最大の投資先となっている。
選挙戦でも、ナジブ前政権の中国一辺倒の外交経済政策の是非が争点になっていた。
(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52796政権交代で中国の一帯一路を封印したいマレーシア、http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52715マレーシア総選挙に中国の陰 民主化遠く)
マハティール新首相は中国主導による大規模開発事業への懸念を示しており、筆者との単独インタビューで(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53065マハティールの野党勝利 61年ぶりにマレーシア政権交代へ)「一帯一路は否定はしない」としたものの、「協力事項は、個別で交渉する必要がある」と強調していた。
日本が最も興味があるのは、HRL(今年末入札、来年9月受注先決定予定)の取り扱いだが、ECRLに関しても重要で、本コラムでも以前、問題点を指摘してきた。