(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)
2018年12月1日に、中国ファーウェイの孟晩舟・副会長兼CFOが、米国の要請により、カナダのバンクーバーで逮捕されて以降、米国によるファーウェイへの攻撃が激しさを増している。
12月26日にロイター通信が、「トランプ米大統領は国内企業に対し、中国ファーウェイとZTEが製造した通信機器の利用を禁止する大統領令を2019年に発令することを検討している」「大統領令は8カ月以上前から検討されており、早ければ1月にも発令される可能性がある」と報じた。
2019年1月16日に米ウォール・ストリート・ジャーナルは、米政府がファーウェイを米企業の企業秘密を盗んだ疑いで本格捜査していると報じた。近日中に起訴する可能性もあるという。また、1月21日にカナダ紙グローブ・アンド・メール(電子版)は、米政府がカナダに、ファーウェイの孟副会長の身柄引き渡しを正式要請する方針を固めたと報じた(日経新聞1月23日)。
そして、とうとう、米国司法省は1月28日、ファーウェイと孟副会長を、イランとの違法な金融取引に関わった罪および米通信会社から企業秘密を盗んだ罪で起訴した(日経新聞1月29日)。
そのような中、ファーウェイは1月24日、次世代通信5G対応の最先端半導体「Balong 5000」を独自開発したと発表した。
「Balong 5000」は、現行規格の4Gに比べて10倍の通信速度を実現した。これは、競合する米クアルコムが開発した半導体の2倍の速度である。また、クアルコムの半導体が5G専用であるのに対し、「Balong 5000」は、2G、3G、4G、5Gの全てに対応可能で、2019年第2四半期に発売するスマホに搭載する計画であるという。