つまり、中国は大量の半導体を必要としているが、それを製造することができていない。したがって、中国政府にとって、半導体の自給率を向上させることが喫緊の課題となっているのである。

 これに対して中国の習近平国家主席は、産業政策「中国製造2025」を掲げ、2017年に13.4%だった半導体の自給率を、2020年に40%、 2025年に70%に引き上げることを目標にしている。

ファーウェイの半導体自給率は何割か?

 ファーウェイのコンシューマー向け端末事業グループの余承東CEOは、「自社のスマホに搭載する自社の半導体の比率は現在約5割で、自給率を高めていきたい」「中国政府が国内の目標とする自給率7割については、可能性はある」とも述べたという(日経新聞2019年1月25日)。

 しかし、筆者は、余承東CEOの発言を額面通り受け取ることはできないと考えている。その根拠を以下に示す。

 ファーウェイでは、その傘下のハイシリコンが、スマホ用アプリケーションプロセッサと通信半導体(ベースバンドプロセッサ)を設計している。「自社の半導体の比率は現在約5割」というのは、これら2つのプロセッサを意味していると考えられる。

 そして、現在自給できていない残りの約5割は、DRAMと3次元NANDの2種類の半導体メモリである。「自給率7割については、可能性はある」というのは、現在、中国ではイノトロンがモバイル用DRAMを、JHICCがPC用DRAMを、長江ストレージが3次元NANDを、それぞれ立ち上げ中であり、これらのどれかが立ち上れば「自給率7割」に到達するという胸算用をしているのだろう。

 しかし、中国でDRAMや3次元NANDが立ち上がったとしても、「自給率7割」は難しい。それどころか、余承東CEOが言うところの「自給率5割」も、実は達成できているとは言い難い。

 というのは、ファーウェイ傘下のハイシリコンは、半導体設計専門のファブレス企業であり、実際の製造は、台湾のファンドリーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(TSMC)が行っているからである。TSMCは、中国の南京工場を稼働させており、もしかしたら、これをもって「中国製半導体」と思っているのかもしれない。

 しかし、台湾国籍のTSMCの南京工場で製造した半導体を、「中国が自給している」とは言えない。中国国籍のファンドリーSMICが製造して、初めて「中国製半導体」と言えるだろう。ところが、ハイシリコンが設計した最先端の7nmプロセスは、TSMCでしか実現できず、せいぜい20nmが限界のSMICには到底、無理な技術である。