したがって現状では、ファーウェイのスマホ用の半導体自給率は、残念ながらほとんどゼロに近いと思われる

台湾がファーウェイ等を排除することに

 ファーウェイにとっては、さらなる逆境が待ち受けている。

 まず、米国が2018年8月13日に、トランプ大統領が著名して成立した法律「国防権限法2019」で、ファーウェイなど中国企業5社を排除することを決定した(「国防権限法2019」については、EE Times Japanの拙著記事『米中ハイテク戦争の背後に潜む法律バトル』、2019年1月22日、を参照ください)。

 米国に続いて、オーストラリア、ニュージーランド、日本が、ファーウェイなど中国企業を排除する方針を発表した。さらに、ドイツと英国も同様の方針を検討している。

 そして、反中国色が強い台湾の蔡英文政権が、中国ハイテク機器への規制強化に乗り出すことが報じられた(日経新聞1月23日)。

 台湾政府は、安全保障上の懸念から、公的機関などでの使用を規制する中国企業のリストを3月末までに公表するという。その候補企業は、スマホ世界シェア2位および通信基地局シェア1位のファーウェイ、スマホ世界シェア9位および通信基地局シェア4位のZTE、監視カメラ世界シェア1位のハンジョウ・ハイクビジョン・デジタル・テクノロジー、同2位のハイテラ・コミュニケーションズ、警察等特定用無線で世界シェア1位のダーファ・テクノロジー等であり、レノボ・グループのパソコンなども対象になる可能性がある。

TSMCがファーウェイの受託生産を続けられるか?

 このように、台湾政府は、ファーウェイ等中国企業を排除しようとしている。そのような台湾にあるTSMCが、ファーウェイの委託によってプロセッサを製造し続けることができるだろうか?

 この受託生産が困難になることを髣髴する事件が、昨年、起きている。まず、台湾のファンドリーであるUMCの協力のもと、モバイルDRAMを立ち上げようとしているJHICCに対して、米商務省は2018年10月29日、米国製の製造装置の輸出を規制すると発表した。

 また、米マイクロンは2017年12月4日に、米カリフォルニアの連邦裁判所に、UMCが技術を盗み、それをJHICCに渡していた容疑で民事訴訟を起こした。そして、米国の連邦大陪審が2018年11月1日、UMCとJHICCを起訴した。