一方、公式訪問でないにしても、かつて日本の経済成長の成功モデルを見本にした開発成長政策「ルック・イースト」を1980年代から21世紀の初頭まで20年以上、敢行してきた同首相の再登壇で、迎え入れる日本は、マハティール首相に秋波を送るのに懸命だ。

 親中だったナジブ政権の10年間、さらにはその前任者で欧州傾斜のアドラブ政権の時代からすれば15年近く、直接投資額では抜きん出ていても、マレーシアへの政治的な影響力の陰が極めて薄くなっていた日本。

 マハティール首相の再登壇はまさに「日本の再帰」を意味する。マハティール首相の今回の訪問は、”公式”訪問に相当するような日本政府、企業、メディアの「日の丸軍団」がオールニッポン態勢で臨んでいる。

 日経の国際会議でも、当初は2日間の最終日の登壇だった。しかし、15年ぶりに“親日派”のマハティール氏が首相に再び返り咲いた政権交代が5月に起こると、プログラムの予定は変更。結局、マハティール氏は初日の開会基調講演を行うことになった。

 講演では、アジアの繁栄と安定をいかに持続するかについて語られ、マレーシアのルーク・イースト政策の復活を強調し、アジアでの日本のリーダーシップへの期待が込められた内容が披露される。

 筆者も取材招待されており、新生マレーシアの日本への熱いメッセージをフォローする予定だ。

 日本政府も「日経の国際会議に出席されることは光栄で、日本政府としてもマハティール首相の来日を歓迎する」(在マレーシア日本大使館の宮川大使)と表明。

 マハティール首相の来日を前に、新政権の財政、経済改革の指針を新政府に示す上級専門家評議会議長のマレーシア政界の重鎮、ダイム元財務相と大使が、日馬の新たな二国関係の緊密化を目指し、投資、技術移転、貿易、安全保障、教育問題などについて協議してきた。

 こうしたオールニッポンの熱烈歓迎を象徴するように、12日には安倍普三首相との首脳会談、国会内での講演、さらには日銀の黒田東彦総裁との会合、日本商工会議所、日本貿易振興機構(ジェトロ)との投資・貿易フォーラムが開催される予定で、日本記者クラブでの記者会見もセッティングされている。

 マハティール首相は、1981年から2003年の首相在任中、日本をモデルとする「ルックイースト(東方)政策」を推進し、日本の成長モデルを見本に、マレーシアを東南アジア域内で急成長させ、「東南アジアの優等生」といわれるまでの開発成長を主導した。