さらに、筆者との単独インタビュー(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53065 マハティールの野党勝利 61年ぶりの政権交代)で話しをしていた際、こういうエピソードも語ってくれた。

 「それまで、列強に支配されたアジア諸国にあって、日本が欧米の直接支配を受けず、復興を果たした事実は、それまで『アジアは欧米には勝つことはできない』と信じていた私の認識を根本から覆すものだった」

 「ハーバード大学のエズラ・ヴォーゲル教授が出版した『ジャパン・アズ・NO1』は米国や世界に衝撃を与えたが、私は日本の力を信じていた」

 1981年にマレーシアの首相に就任したマハティール首相は日本を手本に「ルック・イースト政策」を提唱し、「日本のお陰で、マレーシアは発展を遂げることができた」と日本に感謝している。

 当時、マレーシアでは同政策に対して、「何故、欧米を見本にしないのか」との批判が噴出したが、マハティール氏は、1961年の日本初訪問から、何度も日本を訪れ、政策を進めることがマレーシアの国益にかない、国の建設に寄与すると固く信じていたという。

 あれから、60年。日本訪問は100回以上を数えるアジアきっての親日の指導者、マハティール首相は、10日の夕方に日本入りした。

 訪日前、我々記者に「新生マレーシアは、日本との二国関係をさらに強化し、アジアの発展と安定に寄与したい」と抱負を述べた。

 その上で、「ルック・イースト政策を復活させたい。日本にはアジアのリーダーとして自信を取り戻してほしい」とその熱い思いを語った。

 マラヤ大学のライ准教授は「今回の日本訪問は中国依存過多だったマレーシアの外交姿勢の“軌道修正”になり得る転機で、マハティール首相の意気込みも強い」と言う。

 さらに、「大国中国が最大の貿易国であるのは変りはないが、日本は直接外国投資で断トツだ。中国は、融資するが、投資らしい投資はない」と日本との貿易や技術移転、製造業などの誘致に期待する。

 マハティール首相は“新ルック・イースト”で、日本との新たなパートナーシップに新生マレーシアの未来を託している。

(取材・文 末永 恵)