映画「SAYURI」の美しい旋律に合わせ、完璧な演技で終えたと感じた宮原は、満面に笑顔でガッツポーズ。高得点が期待されたが得点が発表され、宮原は「え?ホント?」とばかり、一瞬、唖然とした表情で、納得がいかなかった様子が、世界に映し出された。
ISUによると、冒頭のジャンプの「回転不足」が原因というが、2004年の世界選手権で優勝したのにもかかわらず、あとでISUによって、「回転不足」だったと逆転評価、汚点をつけられたのも、不可解ながら、日本の荒川だった。
今回の団体戦採点結果については、スケート王国のロシアの世界女王、エフゲニア・メドベージェワが世界歴代最高得点をマーク、世界を驚かす中、日本のエースの舞いに対する評価も世界で議論を呼んでいるのは確かだ。
採点に誠実さなんて10%もない!
筆者は子供の頃、少しフィギュアスケートをかじり、新聞記者時代に取材した経験からだが、フィギュアスケートの採点システムほど、毎年のように基準が変わり、複雑化しているのはスポーツ界でも珍しい。
フィギュアスケート界では、2002年冬季オリンピックでの「ソルトレイク・スキャンダル」といわれる不正採点事件以来、採点基準の明確化など採点方式での不正防止に努めてきた。
しかし、トリノオリンピックをはじめ、世界選手権などで長年、ジャッジを務めてきたベルギー人のパトリック・イベンスは、「ソルトレイク事件以降も、採点方法が公正、公平になったとは思わない。ズルをする方法はいくらでもある」と明言。
ジャッジの採点の誠実さについても、「誠実さだって? 10%ぐらいではないか」と平然と答える。
日本の荒川も、「本来、フィギュアスケートは人の主観が入る。ジャッジも人間なので、選手の名前や演技内容に引っ張られる。世界のトップクラスになると、少々のミスがあって失敗しても下位になることがないのはそのため」と明かす。
さらに、「また、ジャッジにはフィギュアスケートの未経験者もいる。基準を細かくすればするほど、明確じゃない部分が目立ってしまう」とその問題点を指摘。主観が分かれる「回転不足」などは代表的だ。
さらに、ソルトレイク・スキャンダル以降、ジャッジ別に国籍と点数が出る方式が変更された。