フィギュア女子で4位の宮原知子、平昌五輪

平昌冬季五輪、フィギュアスケート女子シングル・フリースケーティング(FS)の演技に臨む宮原知子(2018年2月23日撮影)。(c)AFP/Mladen ANTONOV〔AFPBB News

 「バンブーシーリング」――。グラスシーリング(ガラスの天井)ならぬ、その名の通り、「竹の天井」(バンブー、すなわち竹はアジアを象徴しているという)といわれている。

(文中敬称略)

 米国や欧州などでアジア系の人間が上に登りつめようとすると、その“見えない”竹の天井で、成功や出世の道が閉ざされたり、バッシングやハラスメントを受けたりすることをいう。

 「世界の平和・平等・公平」を謳うオリンピックも、例外ではない。

貴族のスポーツ

 アルプスの最高峰モンブランの麓にある高級リゾート地、シャモニー・モンブラン(フランス)で約100年前に開かれた冬の祭典を発祥とする冬季オリンピック。

 特にヨーロッパの「貴族のスポーツ」の祭典として始まった冬のオリンピックには、この見えない「バンブーシーリング」が立ちはだかってきた。

 貴族のスポーツゆえ、とにかく、このウインタースポーツにはお金がかかる。資金面の上でも、贅沢なスポーツで、世界でも一部の人間しかできないスポーツばかりが集められている世界的に超リッチな競技大会だからだ。

 中でも、ヨーロッパの「美」の基準が色濃く残るフィギュアスケートでは象徴的だ。冬季オリンピックだけでなく、世界選手権でも長年、ロシアや米国が牛耳ってきた。

 その歴史を塗り替えるがごとく、割って入ったのが、日本の荒川静香だ。荒川静香は、2004年の世界選手権で優勝。断トツの強さだった。

 「3回転ルッツ+3回転トウループ+2回転ループ」「3回転サルコウ+3回転トウループ」のコンビネーションジャンプをノーミスで完璧な演技を披露。技術点では「6.0点満点」を獲得し、ロシアや米国などの強豪欧米勢を押さえ、「世界の氷の女王」に君臨した。

 女子シングルで、旧採点システムにおいて、6.0点満点を獲得したのは、それまで世界で、ロシアのスルツカヤと伊藤みどりのたった2人だけだったのだ。名実共に「世界一の女王の天下無敵」な演技だったわけだ。