スクランブルは航空自滅戦への第一歩

 第2次大戦中、「航空撃滅戦」を呼号して極的な航空作戦を展開し、その結果、戦力をむやみに損耗させた軍上層部に対して、現場の軍人たちは「航空自滅戦」と皮肉ったという。今や、それと同じことが起きている。

 例えば、以下の表は、沖縄方面の防空を預かる南西混成団の負担を単純化してみたものである。「負担」とは、年度ごとの「スクランブル」(対領空侵犯措置)の数をF-15戦闘機の配備数で割った数値だ。

増加している南西混成団の負担

(* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで本記事の表をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/52044

 この数字が平成20年には2.01だったのが、平成25年以降には20以上になっている。平成28年に配備数は約40機と倍近く増えたが、負担は20.75と平成25年よりも重くなっている。平成29年度は平成28年より低いが、平成26年よりも高い。そして、抜本的な減少への動きかつ長期的なものという保証はない。習近平のさじ加減次第である。

 しかも注目すべきは、2017(平成29)年5月には中国側が公船から小型ドローンを発艦させて投入してきたことである。これに対して、空自はF15戦闘機を4機投入した。今後は「海保艦艇に電波妨害装置を積載してドローンを落とす」としているが、こうした電波妨害装置では対応できないような中国が配備を進めている大型ドローンであれば、戦闘機を投じざるを得ないのだ。

 スクランブルは一見、実戦経験を高めることになりそうだが、実はそうではない。スクランブルは人員を消耗させるのである。特にアラート待機は緊張状態で時間を過ごすため、パイロットの体力を消耗する。加えて、決められた訓練ができないために、むしろ練度は低下していく。