日本が学ぶべきキューバ危機の教訓と北朝鮮対策

 キューバ危機で、米軍は、その2~3か月前からソ連やその同盟国の貨物船が集中的にキューバの港に出入りすることに気づき、キューバ周辺海域やキューバ国内に対する偵察活動を強化していた。

 また亡命キューバ人やキューバと交易のあるデンマークやトルコ、スペインなどの同盟国の情報機関からも情報が入り、CIAは4000~6000人のソ連人がキューバへ入国していると結論づけていた。

 また、ソ連軍参謀本部情報総局 (GRU) の職員で、米国と英国のスパイとなったペンコフスキー大佐からはソ連軍の技術仕様書や、メーデーの際にクレムリン広場をミサイル搭載車がパレードした際の写真などの情報資料がもたらされた。

 そして、米空軍のU-2偵察機が撮影した写真が、ソ連のキューバにおけるミサイル基地建設を確認する決め手となった。

 このように、危機管理の第一歩は、異常な変化や不穏な動きなど、危機を察知する情報能力を持つことにある。

 わが国も、戦後弱体化したヒューミントを再構築し、独自で多様な情報源を確保しなければならない。また、国の各情報機関からの情報を集約一元化する体制を強化することが必要である。

 さらに、わが国周辺地域や中長期的な軍事動向などの情報を獲得するためには、平素から同盟国の米国や友好国と情報を共有できる体制を構築することが重要である。

 加えて、今後米国は、北朝鮮をはじめ中国やロシア、そして国際社会の反応次第では、行動をエスカレートする可能性があり、その行動に対する北朝鮮のリアクションは一段と厳しさを増すことが予想される。

 そのため、わが国の危機管理に当たっては、米国が、様々な経歴や意見を持つ専門家を招集した国家安全保障会議執行委員会(エクスコム)をもって、その打開に当たったことを、大いに参考としたい。

 危機管理には、政治指導者の強力なリーダーシップが必要である。

 その外交的・戦略的判断に、わが国の最高の頭脳を結集することができれば、一党独裁のドクトリンに拘束され、ごく限られたトップ集団に権限が集中しがちな体制の国と比べ、より自由で創造的、より多角的で柔軟なオプションを案出し、状況の特性や変化に適合しつつ国を挙げた対応を可能にすることができる。

 そして、それは、直ちに始めなければならない。

 北朝鮮問題について、日本は、米国と対等の主要プレイヤーではない。しかし、北朝鮮の核ミサイルは日米韓に向けられ、それに対する米国の行動はわが国の生存と安全に直結するものであり、さらなる緊密な協力と連携が欠かせない。

 そのため、日本は、何よりも、わが国およびアジア太平洋地域の安全保障を確保するうえで必要不可欠な日米同盟を堅持する立場を明確にし、米国とともに経済制裁による圧力を緩めないことだ。

 また、日米共同訓練や演習などを通じて集団的自衛(相互防衛)のための体制を強化することである。

 そして、朝鮮半島での軍事衝突が切迫したならば、政府は、事態に伴って生起するわが国への具体的な脅威について国民に明示し、理解と協力を求めるのは当然である。

 他方、国民は、政府の立場や決断を全面的に支持し、「自助」「共助」の精神をもって国家非常事態に備え、敢然と立ち向かう覚悟を持たなければならない。