米朝とも体面を保った外交的解決を

 国際社会には、大国もあれば小国もあるが、いずれの国も他の国から侵されることのない主権という自己決定権をもつ対等な国家同士から成り立つのが、現在の主権国家体制を基本とした国際社会である。

 そして、いずれの国も自国の国家利益を追求し、それに伴いお互いの利害が衝突することによって、問題や紛争が起きるのも国際社会の常である。

 キューバ危機における米ソは、主義思想の違いや利害の対立を乗り越えて、全面核戦争の恐怖から世界を救うことができた。

 その際、米ソは、対等な主権国家として、どちらか一方が譲歩したということではなく、双方が妥協したような形に収めることで、お互いの体面を保ちつつ外交的解決に導くことができたのである。

 その事実は、現在係争中の米朝間にあっても、大国と小国の違いは鮮明であるが、大いに尊重されなければならない。

 また、米国にとって、北朝鮮はトランプ大統領が言う「ならず者体制」には違いなかろうが、万一、北朝鮮の体制崩壊を目指すとなれば、そこから生ずる結末については、全面的な責任を負わなければならない。

 と言うのも、米国は、イラク侵攻やリビアのカダフィ大佐追放において、既存の体制を打倒したが、その後には無政府状態と内戦だけが残された。

 日米戦争後の日本の占領政策には、概ね7年の歳月を要したように、もし、一国の体制を崩壊させ、立て直す必要があれば、少なくともその後の10年間は、当該国の再建に見合う自国の人的・物的・社会的資産を振り向ける覚悟が伴わなければならない。

 特に、北朝鮮問題は、その地政学的特性・重要性のゆえに、中国とロシアの懸念に対する十分な配慮に欠ければ、紛争が解決した途端、新たな紛争の種、しかも大国間の紛争へと発展しかねない種をまくことに等しいからである。

 また、キューバ危機の解決には、国連や中立国の仲介など、国際社会の力が大いに後押しした側面を見逃してはならない。

 世界のリーダーである米国には、引き続き、日本や韓国などの同盟国はもとより、多くの国の理解と協力を得る地道な努力を惜しまないよう切に望まれる。