神戸製鋼所は品質データ改ざん問題について、鉄鋼製品など新たにグループ9社で不正を確認したと発表した。会見に出席した同社の川崎博也会長兼社長(2017年10月13日、写真:つのだよしお/アフロ)

 10月8日、鉄鋼大手の神戸製鋼所が、指定規格や性能を満たしていない鋼材を偽って客先へ出荷していたという不正事実を明らかにしました。この事件は筆者が暮らす中国でも「日本の製造が揺らいでいる」などという見出しとともに大きく報じられました。

 筆者は中国に来てから通信社で記者として働いたあと、日系メーカーで品質管理に従事した経験があります。今回はそんな筆者の視点から、なぜ長年にわたり不正が見過ごされてきたのかについて所見を述べたいと思います。

組織ぐるみの不正は明らか

 当初、神戸製鋼はこの問題はアルミ・銅製品に限られるとしていました。しかし、その後、鉄粉やばね鋼などの製品群でも同様の問題があることが明らかにされました。

 こうした不正は少なくとも過去10年以上にわたって行われていたとみられ、中には「数十年前から行われていた」という報道もあります。その期間の長さと不正のやり方を見る限り、組織ぐるみの不正が行われていたことは間違いないでしょう。

 神戸製鋼は2016年にも、ばね鋼で今回と同じように検査データを改ざんして出荷していたという不正が発覚しています。その前年にも同様の不正が発覚しており、今後こうした不正を根絶できるのか神戸製鋼の自浄能力についても疑念を覚えざるを得ません。