主流はリン酸鉄系から三元系へ?

 CATLとBYDのトップ交代の背景には何があるのか。中国のメディアや専門家の間では、両社が製造する電池の種類が勝敗を分けたとする見方が多く見られます。

 中国の車載電池市場では、これまで「リン酸鉄系」リチウムイオン電池が主流で、2016年は全出荷量に対する比率が73%を占めていました。エネルギー密度が低いものの、安全性が高く、コストの安い鉄を正極原材料に使う電池です。

 しかし近年、エネルギー密度や安全性の面で優位のあるコバルト、ニッケル、マンガンの3種類の材料を正極材に使用する「三元系」リチウムイオン電池の需要が高まっており、自動車メーカーの間でもこちらを採用しようとする動きが出てきました。

 三元系リチウムイオン電池は高い生産技術が要求されるのですが、CATLはかねてからこの分野に強く、整備されたサプライチェーンと生産技術を既に有していました。そのことが今年の躍進につながったと分析されています。

 また、CATLは中国の電池メーカーの中で、唯一、BMWをはじめとした外資系高級車ブランドにも車載電池を納品しており、品質面で高い評価を得ていたことも影響しているでしょう。

 一方、これまでリン酸鉄系に偏ってきたBYDも、市場の動向を受けて三元系への対応に動いています。今年8月には、三元系リチウムイオン電池に強い業界4位の合肥国軒高科動力能源有限公司(国軒高科)との提携を発表し、三元系リチウムイオン電池のサプライチェーンを強化する方針を打ち出しています。

 中国政府も、リン酸鉄系から三元系への技術転換を国内の電池メーカーに促しているといいます。こうした動きから、現時点では今後の電池の主流は三元系が有力であると各所で予想されています。