近畿大学直伝! 養殖「泉南アナゴ」が即座に完売

ウナギと比べられてきた魚の過去・未来(後篇)

2017.07.21(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
アナゴの天ぷら。大阪府泉南市内、岡田浦漁協が開催する「日曜青空朝市」にて。当地では古くからアナゴを天ぷらや蒲焼などで食べてきた。

 味も体型も特徴的な魚「アナゴ」に光を当てている。

 前篇では、日本人がこの食材をどう捉えてきたかを追った。「ウナギに比べると」といった文脈で語られがちなのは、昔も今もそう変わらない。江戸時代の文献には「ウナギより劣る」という主旨の評価も見られた。とはいえ、漁が盛んな地域ではアナゴも貴重な海産物。各地でアナゴの寿司や駅弁などが生まれ、地域ブランドとして発展してきた。

 アナゴを獲って食べてきた地域の1つが、大阪府泉南(せんなん)市だ。府内随一のアナゴ漁獲量を誇る時期もあった。だが、2000年代半ばから漁獲量が急減。乱獲や水温上昇などの原因が指摘される。

 再び「泉南のアナゴ」で活気を取り戻すべく、岡田浦の漁業者たちは、大学や自治体と連携してプロジェクトを立ち上げた。後篇では、このプロジェクトを紹介し、アナゴ食の未来を考えたい。

近畿大学からアナゴ養殖法を学ぶ

 泉南市内の岡田浦漁協には、かつてアナゴ専門の漁業者もいた。アナゴは夜行性のため夕方に船を出す。漁場でイワシなどの餌を入れた篭を沈め、暗くなってから引き上げる。獲れたアナゴは、漁業者が開きなどにして、各市場に出荷した。地元でもアナゴの天ぷらや蒲焼などとして食べられた。こうして「泉南アナゴ」は名を馳せてきた。

 ところが、危機が訪れた。かつては年中、獲れていたアナゴが、近年では2〜4月のみに、しかも限られた海域でしか獲れなくなってしまった。2004年に140トンあった漁獲量は、10年後には10分の1まで落ち込んだ。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。