なぜおいしくなるのか?「熟成」という魔法の正体

いまだに謎も多い“寝かせる”効果のメカニズム

2016.10.07(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要
代表的な熟成食品のひとつ、いかの塩辛。

 熟成はさまざまな食品のおいしさと結びついており、「熟成」と聞くだけでおいしそうに感じる。まさしく「熟成」は食品のおいしさを表すキーワードなのだ。熟成させると、なぜ食品はおいしくなるのだろうか。

おいしさの決め手は「寝かせる」こと 

 このコラムでも昨年「なぜ『寝かせた肉』はおいしいのか?」という記事で報じたとおり、「熟成肉」がブームになった。そのブームのせいか、「熟成」という言葉をよく耳にする。

 ブームの前から、お酒や調味料などには「熟成」を売りにしている食品はたくさんあった。熟成とは、簡単にいえば「食品を寝かせておいしくすること」だ。

 たとえば、お酒やチーズなどを発酵後に寝かせるのも熟成のひとつ。風味がまろやかになり、色や香りが生まれておいしくなる。つまり、熟成とは、食品を長くおいておくことで、食品の色や味、香り、歯触りなどを変化させ、好ましい状態にすることなのである。

 食品の熟成を研究する日本食品包装協会理事長の石谷孝佑氏は「人によっておいしさの感じ方は違うし、食品の種類によって熟成のメカニズムも多様です。そのため、熟成を定義したり、評価したりするのは簡単ではない」と話す。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。


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