空き缶を捨てる時、つぶす? つぶさない?

リサイクル普及の裏に潜む自治体の事情

2016.08.26(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要
つぶした空き缶。両手で持って“ひねり”を加えてから圧すると、縦方向につぶれる。

 飲みものの容器の代表的存在である「缶」。リサイクル率は90%を超えている。私たちが空き缶をごみ置き場やごみ箱に出すことが、直接リサイクルにつながるという仕組みがある。

 しかし、疑問もある。アルミの空き缶などは手で軽くつぶせるが、果たしてつぶして出すべきなのかどうか。飲み終えた空き缶をつぶす習慣は、社会に定着していないようにもみえるが・・・。

 空き缶の出し方について探っていくと、一筋縄ではいかない事情があることがわかった。

リサイクル率は9割を突破

 自動販売機で缶入りのコーラを買って飲む。コンビニエンスストアでビールを買って飲む。これらの容器はアルミ缶だ。

 アルミ缶の強度はさほど高くないため、内部から圧力をかけられる炭酸系飲料にしか以前は使えなかった。だが、窒素を充填して缶の内部の圧力を外部よりも高くする技術が発達し、非炭酸系飲料にも使えるようになってきた。

 アルミ缶の消費量は高まっている。アルミ缶リサイクル協会調べによると、2005年の国内消費量は184億3000万缶だったが、2015年には222億缶に増えた。日本人1人あたり年に175缶も使っている計算になる。

 一方、缶コーヒーや缶スープなどの容器に使われているのが鉄製のスチール缶だ。こちらのほうがアルミ缶より硬い。スチール缶の方は、消費量については長期的に微減傾向にある。スチール缶リサイクル協会によると、国内での年間生産缶数(飲料)は2005年度で134億3800万缶。2015年度はまだ公表されていないが、最新データの2014年度では95億7700万缶だった。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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