【他の雇用関連データは全て堅調な雇用情勢を示唆】
雇用増加数以外の雇用データはすべて順調と言っていい。週平均労働時間が横ばいの34.4時間となった結果、総労働投入量(民間雇用者数×週平均労働時間)は前月比+0.1%と増加趨勢が維持されている。また平均時給は+0.2%、総労働所得(総労働投入時間×平均時給)は同+0.3%と高い上昇率が続いている。
さらに平均失業期間が大幅に改善している(26.7週間と4月の27.7週間から大きく改善し、2月時点の29.0週間からは2.3週間も短縮)。そもそも毎週発表される新規失業保険申請件数は過去最低記録を更新中であり、それは解雇が著しく減っていることを示している。
他方、人材紹介会社による求人充足日数はリーマンショック直後の15日から27日へと歴史的水準まで高まっており、求人が困難化していることを示している。
これらからうかがわれる姿は、為替市場の反応とは逆に労働市場のひっ迫(=求人難)が雇用増加数鈍化の原因となっていることを推測させる。
失業率は完全雇用水準の5%からさらに4.7%へと低下しており、求人難が進行していることはほぼ確かである。すでにFRBの高官などは労働需給のひっ迫により雇用増加数が鈍化する一方、賃金上昇圧力が高まるとの観測を披瀝している。また前年比2.5%増という平均時給自体が、高給のベビーブーマーの退職とより低賃金の若年層の雇用という世代交代によって実態より低く出ているという観測もある。アトランタ連銀による個々人の賃金追跡調査(ウェイジ・トラッカー)によるとすでに賃金上昇は前年比3.5%増に達している。