(1)5月米国雇用統計、為替市場の解釈の間違いの可能性
【雇用増加の急減をどう解釈するか】
6月3日発表の5月米雇用統計の解釈に関して大きな矛盾が発生している可能性がある。
非農業部門雇用者数が前月比+3.8万人と16.0万人の市場予想を大幅に下回り2010年9月以来の低い伸びとなった。通信企業のストによる特殊のマイナス3.5万人を加えても7.3万人にとどまる。これが景気後退リスクの高まりを示唆しているとの見方が強まり、急速なドル安が進行した。発表直後にドル円相場は109円台から106.5円まで2.2%の急落、対ユーロでも1.9%下落した。ただ株価(NYダウ)は一時150ドルの急落となったが、引け値は急速に戻し前日比31ドル安にとどまった。
この雇用統計を潮目の転換、米国景気の悪化を示唆するものとすれば、利上げどころか利下げすら必要となるので、ドル安は当然と言える。しかし様々なテータを詳細に見ると、5月の雇用増加数の急減は一過性のノイズというべきものである公算が強い。とすれば為替市場のドル急落は過剰反応あるいは間違いと考えるべきなのかもしれない。