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「正しいおじぎ」のルーツとは?(写真はイメージ)

(文:麻木 久仁子)

人生はマナーでできている
作者:高橋 秀実
出版社:集英社
発売日:2016-04-26

 マナーに関する話題は尽きない。テレビ番組でも「あなたのマナー、ここが間違い!」とか「芸能人マナーチェック!」とかの類いはつい見てしまう。「知ってましたよ」という顔をしながら内心ドキッとしたりしながら見る。そうだったのか!と。

 納得いかないこともある。ある番組で「ティーカップのソーサーを手で持つのはマナーに反します」と言っていたがいやいや、日本茶の茶托は持ち上げないかもしれないけれど、ソーサーはいいんじゃないかしらん。外国の映画とかみると、左手にソーサー右手にカップでソファーにどっかり座ってるし、と未だにしつこく心の中で反論している。

 あるときネットをみていたら「友人の披露宴に招かれたが、交通費をくれなかった。普通はさりげなく包むものなのに。マナーを知らないこの友人とは今後付き合いをやめる」という人がいた。まあ遠方から来てくれる人には新幹線とか飛行機のチケットはお送りするべきかなあと思ったが、よく読んでみると交通費というのが都内の電車賃のことで、にもかかわらず大勢が「そうだそうだ払うべきだ、その友達は礼儀知らず」と賛同しているので驚いた。「えー、友達の結婚式にいくのに電車賃よこせって、むしろそっちのほうがマナーもへったくれもないというか、なんなのー?」と思ってしまったが、どうなんだろうか、私がまちがっているのだろうか。娘が結婚するときまでには、はっきりさせておかなくてはなるまい。なんかちょこっと心配になる。