再生可能エネルギー政策の抜本的見直しが始まる

2030年に向けて制度改正、事業者は生き残れるか

2015.10.05(月) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44879
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 また系統制約が顕在化するに付け、「送電網の増強の費用負担を誰がするか」という点と「需給調整力をどのように向上していくか」という点は、業界全体が共有する大きな課題となりつつある。

 特に九州地域では、送電網の増強の費用負担の分担が決まらずに開発が止まっている案件や、出力制御を恐れてファイナンスが止まり、頓挫しつつある大型太陽光発電案件が多数ある。全国に問題が波及する前に公平かつ有効性のあるルールが整備されることが望まれる。

電力システム改革との整合性について

 こうした再エネ業界からのボトムアップの議論と合わせて、再エネ改革小委では電力システム改革というトップダウンの制度改正とも整合性を取るべく議論が進められている。

 具体的に問題となるのは小売自由化、発送電分離といった政策との整合性である。2016年4月には、小売自由化の一貫で、電力会社の事業類型が見直され、現状の「地域独占かつ発送電小売の垂直統合」という電力会社の事業形態が、発電、送配電、小売の分離を前提としたものへと変わる。さらに2020年には、電力会社の送配電部門が法的に分離し、独立した送配電事業者となる。

 これを見据えて将来的には再エネ電源の買取と電力系統網への接続の義務が送配電事業者に一元化される方針が打ち出された。

再エネ電源の買取と電力系統網への接続について(経済産業省資料より筆者作成)
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 必然的に送配電事業者に買い取られた再エネ電源発の電気の大部分は、卸電力市場を通じて小売時業者に提供されることになるので、卸電力市場で取引される電力は増えていくことになるだろう。このことは電力事業への参入障壁が更に下がることを意味する。

 以上、現在進められている再エネ改革の議論についてまとめたが、いずれの制度改正も再エネ市場に非常に大きな影響を与えることになる。

 現状は国により利益が保証される中で一種の国策バブルとして活況を呈してきた再エネ業界であるが、今後は市場機能を活用する方向で制度が見直され、事業者は粘り強い努力と創意工夫をこらさなければ生き延びられなくなるだろう。

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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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