再生可能エネルギー政策の抜本的見直しが始まる

2030年に向けて制度改正、事業者は生き残れるか

2015.10.05(月) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44879
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 併せて議論されているのは、「設備認定後」の問題である。

 現在の制度では、設備認定や事業開始後の体制について特段規制が設けられていない。そのため、特に太陽光発電設備においては、メンテナンス体制の不備により、台風や大雨、積雪、突風など自然災害の際に周辺に被害を出したり、周辺環境との調和を考えない開発が景観を乱すなどの問題が頻発した。

 今後は事業者と地域との共生を促すべく、メンテナンスの規制を厳格にすることや設備認定の情報公開が進められる見込みである。

 さらに調達価格(買取価格)の決定時期についても議論が進められている。

 現状では、太陽光発電に関しては「接続契約の締結と設備認定が取得された時点」(接続契約時)において調達価格が決定し、その他の電源に関しては「接続契約の申込みと設備認定が取得された時点」(接続申込時)に調達価格が決定するものとされている。

 太陽光のみ制度が異なるのは前述の未稼働案件対策の一貫なのだが、そもそも再エネ電源の開発に要する時間は電源ごとに大きく異なり、太陽光のように1年以内に開発が終わるものから、地熱のように10年近く要するものまである。

 このような電源ごとの特性を考慮して早期開発を促すように、今後は調達価格の決定時期をさらに多様化する方向で議論が進められている。おそらくは開発期間の短い太陽光発電は「運転開始時」となり、他の電源は特性ごとに接続契約時と接続申込時に振り分けられるもの思われる。

制度に甘える開発事業者は生き残れない

 制度の手続きに関しては具体的な議論が進められているところであるが、他の「コスト効率的な再生可能エネルギーの導入方式」や「系統制約の解消」については大枠の論点が示されている段階だ。

【参考資料】コスト効率的な再生可能エネルギーの導入/出典「再生可能エネルギーの導入促進に係る制度の現状と課題」p.9

 注目すべき論点は、【コスト効率的な再生可能エネルギーの導入】の枠組みで議論するとされる「買取価格方式の見直し」だ。これは開発事業者に非常に大きな影響を与えることになる。

 現状、買取価格はコストの積み上げ方式で決められており、このことは事業者に利益が確約されていることを意味する。しかしながら低コスト化を進めるには、ドイツなどの先例を見るに、今後は積み上げ方式から一定比率のコスト逓減方式への移行や、買取価格ごとの累積上限制の設定、さらには入札方式の導入などが予測される。

 これは「コスト競争力があり迅速に意思決定できる事業者しか生き残れない」ということを意味するので、制度に甘えたビジネスを展開している開発業者は駆逐されることになるだろう。

【参考資料】系統制約の解消に向けて/出典「再生可能エネルギーの導入促進に係る制度の現状と課題」p.10

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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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