再生可能エネルギー政策の抜本的見直しが始まる

2030年に向けて制度改正、事業者は生き残れるか

2015.10.05(月) 宇佐美 典也
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44879
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 他方で再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、最終的にその原資を電力の消費者である国民に求めるものであるため、闇雲に再エネ電源を導入すれば良いものというわけではない。国民負担を最小化するための努力も求められることになる。

 2015年度現在では再エネ電源からの電気の買取費用が1.84兆円でそのうち1.32兆円が消費者負担として転嫁され、各家庭では1.58円/kWh(一般家庭で474円/月程度)ほど電気料金に上乗せされる形となっている。

 政府としてはこうした各家庭の負担を1000円/月程度に収めるために、買取費用の上限を概ね現在の2倍である3.7兆円と設定する一方、これ以上の電力料金の上昇を避けるために原子力発電の再稼働を進めるとしている。つまり原子力発電の再稼働と再エネの導入促進はコインの裏表の関係となっている。

現行の設備認定制度をどう見直すのか?

 このような問題意識に基づいてどのようなことが議論されていくのだろうか。再エネ小委では具体的な論点として、

 (1) 現行制度の手続き上の問題の解消

 (2) コスト効率的な再生可能エネルギーの導入

 (3) 系統制約の解消

 という3点が挙げられている。

 このうち1点目の【現行制度の手続き上の問題の解消】についてだが、すでに具体的な議論が進展しており、3つの課題について見直しの議論が進められている。

現行制度の手続きに関する3つの見直し(経済産業省資料より筆者作成)
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 まず1つ目は、国による固定価格買取制度の対象となる「再エネ発電設備の認定」に関するものである。一番大きな問題は「認定時期」の問題だ。

 事業者が再エネ発電設備を開発し、固定価格で電力会社に買い取ってもらうには、電力系統に対して設備を接続する契約(「接続契約」)と国からの再エネ発電設備の認定(「設備認定」)の2つを得ることが不可欠となる。

 ところが、現在の制度では「接続契約」を締結する前に、「設備認定」を取得することが可能だ。そして、太陽光発電の設備認定の取得は、一般に、接続契約の締結よりも容易なので、とりあえず設備認定のみを取得して、実際は稼働するに至らないというケースが多い。

 こうした「太陽光発電の未稼働案件」が大量に発生し、実態が把握しづらくなっている。これに対し、設備認定を接続契約の締結後でなければ取れないようにして、未稼働案件が生まれないようにするべく見直しの議論が進められている。

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1981年、東京都生まれ。暁星高校、東京大学経済学部を経て、経済産業省に入省。企業立地促進政策、農商工連携政策、技術関連法制の見直しを担当したのち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にて電機・IT分野の国家プロジェクトの立案およびマネジメントを担当。2012年9月に経済産業省を退職。現在、再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開している。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった - 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中公新書ラクレ) など。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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