サウジアラビアはなぜ原油の増産を続けるのか

原油価格下落を穴埋め、過去最大水準に達する可能性も

2015.04.24(金) 藤 和彦
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原油価格急落で弾けようとしている「債券バブル」

 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(4月17日)では、中国が提唱する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」ばかりに焦点が集まったが、その声明の中で「各証券清算機構の脆弱性に対処し、市場ショックに確実に耐えられるよう、規制当局が講じる政策行動を採る」ことが盛り込まれた。

 ここで言う清算機構とは、主に市場関係者の間で「ダークプール」と呼ばれる私設取引システムのことを指す。金融派生商品(デリバティブ)の活用事例が増加したことで、ダークプールは急速に拡大している。しかし匿名性が高いため新たなタイプのリスクが生まれつつある。政策当局者は、ダークプールが破綻すれば市場に大混乱を招くとの懸念を有している。

 規制当局が政策行動を採るのは世界経済の安定化のためには望ましいことである。だが、世界各国の中央銀行が前例のない規模の刺激策を続けているために生じた「債券バブル」が、原油価格急落により弾けようとしているときに、それを穴埋めできる規模の量的緩和策が存在するのだろうか。

 6月のOPEC総会の結果が、2014年11月と同様に世界の失望を招くものになれば、世界の原油価格のさらなる下落を招き、金融危機の懸念が一層高まることになる。サウジアラビアの今後の動向からますます目が離せなくなっている。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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