サウジアラビアはなぜ原油の増産を続けるのか

原油価格下落を穴埋め、過去最大水準に達する可能性も

2015.04.24(金) 藤 和彦
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 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は4月13日、2014年の世界の軍事費を発表した。これによると、サウジアラビアの軍事費は2013年に続き世界第4位であり、支出額の上位国の中で最高の伸び率を記録した(前年比17%増)。2014年の軍事費は808億ドルとなり、日本の2倍近い水準に達し、軍事費の対GDP比率も10%を超えた(この比率は北朝鮮に次いで高いとする向きもある)。2011年にサウジアラビアの軍事費は413億ドルに過ぎなかったが、2012年から2014年後半までの原油価格高騰局面で、軍事費が倍増したことになる。

 サウジアラビアのGDPにおける輸出額比率は5割以上、輸出額に占める石油売却代金の比率は約9割である。サウジアラビア政府は歳入の90%以上を石油収入に依存しているため、2014年末に策定した2015年度予算は約390億ドルの赤字となった。3月下旬から開始したイエメン空爆により軍事費は大幅増加し、赤字幅は大幅に拡大している可能性が高い(3月26日に開始した空爆は4月21日に終了したが、その間の戦闘機の出撃は2415回に及んだ)。

 2015年1月に死去したアブドラ前国王は、近年オバマ大統領との間で中東政策を巡り意見の相違が目立ち、米国への不信感が募っていた。

 4月14日、米エネルギー省は「米国は2017年までに天然ガスの純輸入国から純輸出国に移行し、15年以内にエネルギーの純輸出国に転じる」との見通しを明らかにした。この見通しからも明らかなように、エネルギーの中東依存度の低下によって米国の中東地域に対する関与の度合いは今後下がることはあっても高まることはないだろう。

 就任後3カ月が経つサルマン新国王(79歳)も、自分たちの身を自分たちで守る体制への転換を模索し始めている。3月29日、アラブ連盟首脳国会議でアラブ合同軍を創設するとの声明を出したのはその一環の動きである。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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