緊急輸入では焼け石に水、
バター不足解消には構造的変革が必要

酪農家も牛も減っている

2015.01.09(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 各メーカーは、バターと同じような使用感を出すなど、コストパフォーマンスの高いマーガリン製品を作る努力を重ねている。バター供給の不安定さから、業務用ではマーガリンなど他原料に流出した食品メーカーが一定数存在しているようだ。これまでも、食品メーカーはバターが不足していたときには代替品に切り替えたり、バターの配合量を減らしたりして対応していたとみられる。

 だがこれは、バターの供給状況の「不安定さ」が結果的に国産品離れ、輸入品・他原料へのシフトを後押ししていることを意味する。

 乳業メーカーからなる日本乳業協会は、国産の生乳が不足しているとして、2014年8月に政府に対し、異例とも言える乳製品の大規模輸入を求めていた。国内の生乳生産量が確保できないため、食品メーカーからのバターや脱脂粉乳の要望に十分に応じきれていないためだ。今回の輸入要請は異例の規模で、生乳換算で約14万トンもの量だった。いかに生乳に不足感があるかが伺える。これに対し、前述したように政府は追加輸入で応えたとみられるが、要望された量には届いていない。

構造的変革がなければ問題は解決しない

 今後もバター不足は続くだろう。大きな原因は、酪農家が減り生産量が減少していることだ。

 酪農農家は2004年には全国に2万9000戸あった。それが2014年には1万9000戸まで減った。牛の数も1993年以降減少を続け、2004年に169万頭だったのが、2014年には140万頭になった。

 少なくとも、小さな農家が淘汰され、規模拡大した農家が生き残るというシナリオは成立していないようだ。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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