緊急輸入では焼け石に水、
バター不足解消には構造的変革が必要

酪農家も牛も減っている

2015.01.09(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 乳製品は、毎年一定量のカレントアクセス(CA)という輸入義務がある。生乳換算で13万7000トンもの量だ。この中には、バターだけではなく、脱脂粉乳やホエイ、バターオイルなども含まれる。脱脂粉乳とホエイは菓子、パン、飲料、ヨーグルトなどの原料となり、バターオイルはマーガリン、菓子、アイスクリームなどの原料となる。この輸入量でもバターが不足したことから、前述の通り、政府はCA枠外の緊急追加としてバター7000トンを輸入したのだ。CA枠を超えたバター追加輸入は2012年以来2年ぶりだった。

 CA輸入分などのバターは関税が35%と低く抑えられているが、これを超えると360%もの高関税になる。そのため、バターが品薄でも輸入は急激には増やすことができないと考えられる。

 乳製品の世界的な需要は、中長期的には増大すると予測されている。農水省が2010年2月に発表した「2019年における世界の食糧需給の見通し」によれば、主要品目の国際価格の変動の中でもバターの上昇率が著しい。2007年と比較し2019年には実質価格が47%増加すると予測している。

 また、輸入バターの価格は国際価格に左右されるため不安定になりがちだ。農畜産業振興機構によると、バターの国際価格は2008年に1トンあたり3514.6ドルだったのが、2014年3月には4750ドルまで高騰。その後も乱降下を繰り返している。

バター代替品への切り替えは進むが・・・

 バター不足が続いているため、代用品のマーガリンの売上が伸びている。家庭用では、バター風味に機能性をプラスした商品が次々と登場している。

 雪印メグミルクは「雪印 まるでバターのようなマーガリン」を2010年9月に発売。バターの代替品として、値頃感のある商品として好調だという。また、バターのようなコクと味わいを実現した、J-オイルミルズの「ラーマ バター好きのためのマーガリン」も、好調だという。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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