今年のクリスマスケーキはお値段高め?
懸念されるバター不足の長期化

2011.11.04(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 バターの不足が続いている。2008年にはバターが店頭から消え、入荷してもすぐに売り切れる状況になった。2011年10月現在、製菓・パン材料を販売する店舗では「お1人様1点限り」という購入制限を設けているところもある。

 バターはお菓子やパン作りになくてはならないものだ。家庭料理でも、シチューやピラフ、グラタン、オムレツと、枚挙にいとまがないほど登場する「隠れた主役」である。

 これから年末にかけてはバターの需要期に入る。例年10月からじわじわと消費量が増え、クリスマスの12月にピークを迎える。

 この年末の需要期を控え、10月からバターが一斉に値上げされた。値上げに踏み切ったのは、雪印メグミルク、明治、森永乳業の乳業大手3社だ。

 雪印メグミルクは「雪印 北海道バター」など3商品、明治は「明治北海道バター」など2商品を、10月1日出荷分から1.2~1.4%分値上げした。また、森永乳業も21日出荷分から「森永北海道バター」を1.4%値上げした。

牛乳の消費減を受けて生乳の生産も減らされてきた

 バター不足の背景には、牛乳の消費量が減ったことを受け、牛乳の減産が進められてきたことがある。

 農林水産省は、2006年から2007年にかけて乳牛の頭数を減らすなどして牛乳の減産を進めてきた。2003年時点の乳牛の数は171万9000頭だったが、2011年2月1日時点の乳牛の数は146万7000頭。9年間で約15%も乳牛が減っている。これにより生乳の生産量も減った。生乳の生産量は2003年の840万トンから2010年には772万トンにまで落ちている。

 今年のバター不足については、昨年の夏の酷暑も要因の1つだ。搾乳は、夏に受精して翌春に出産した乳牛から行われるが、猛暑で牛の体調が悪くなると受精できず、搾乳できる牛の頭数が減ってしまう。

 さらに生産面で追い打ちをかけたのが東日本大震災だ。

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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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