増産が求められる国産ナチュラルチーズ

国内市場は成熟化へ、付加価値で勝負

2012.12.07(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 とろりとしたチーズフォンデュに赤ワイン。寒くなってくると温かいチーズが恋しくなる。夏にはまたビールのお供にミモレットが合う。季節を問わず楽しめるチーズは国民的な支持を得て、総消費量は1995年以降、増え続けている。

 しかし、そんなチーズを取り巻く状況は実は不安定だ。

 1つの懸念材料は、チーズの国際相場にある。日本はチーズの消費量の約80%を輸入に頼っている。チーズの輸入量は世界的な供給量や需要、さらに為替相場によって変動するため不安定になる。

 チーズを安定的に確保するためには、国産チーズの生産量増加が重要となる。特に需要が伸びているナチュラルチーズの生産量拡大が鍵を握っている。

 今回は、国産ナチュラルチーズの現在を見ていくことにしよう。国内のチーズ工房を事例として取り上げつつ、現状や課題を分析してみたい。

伸びているナチュラルチーズの消費量

 チーズは大きく分けるとナチュラルチーズとプロセスチーズの2種類になる。原料の生乳を乳酸菌などで熟成させたのがナチュラルチーズ。一方、ナチュラルチーズを加工して保存性を高めたものがプロセスチーズだ。

 チーズが日本に普及したのは戦後。学校給食でプロセスチーズが出され、家庭にも浸透し始めた。長くプロセスチーズが主流だったが、1970年代にピザやチーズケーキのブームで、ナチュラルチーズの消費量が次第に増加。近年は消費動向のグラフにあるように、特にナチュラルチーズの消費量が伸びている。

 これらは、いずれも加工向けではなく直接消費者の口に入ったチーズの量である。ナチュラルチーズの消費量は90年を境にプロセスチーズを上回るようになった。

チーズの消費動向
(資料:農林水産省「チーズの需給表」を基に筆者作成)
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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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