3月28日、フィリピンに朗報が届いた。この国の外貨建ての長期債が格付け会社フィッチによって投資適格級(BBB-)に引き上げられたのだ。市場関係者の間ではすでに投資適格級とされていたので、市場には大きなインパクトは与えなかったようだが、何しろフィリピンが投資適格になるのは初めてのこと。政府関係者や中央銀行の喜びはひとしおだったようだ。

フィリピン、初の投資適格級に

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 早速、英エコノミスト誌が記事を書いている。その「変わるフィリピン:初の投資適格級格付け」によると、フィリピンの中央銀行総裁が「神のお墨付きをもらった」と語ったという。

 一般には悪名高い格付け会社を“神”と呼ぶのだから、そのうれしさが伝わってこようというもの。

 もっとも皮肉が好きなエコノミスト誌は、「もしそうだったら、これまでに格付け会社について語られた最高の賛辞だったかもしれない」とチクリ。

 それはともかく、このところフィリピン経済の伸張は著しいのは事実。

 今回は日本がこれまであまり関心を示してこなかったフィリピンの変化について、現地で長らく日本企業の進出を数多くサポートしているフィリピン和僑総研の三宅信義社長のお話を基にお伝えしたい。

 慶応大学に在学中からフィリピンにはまっていた三宅さんは、1998年に大学を卒業すると就職することなく、100万円を持ってこの地にやってきた。

 しかし、100万円は遊興費などですぐに使い尽くし、日本に帰国するか現地で真剣に仕事を探すかの選択を迫られた。できることならばフィリピンを離れたくない。

 焦り始めた頃、日本人駐在員の子息向けに家庭教師をやってみようと思い立った。日本人であふれているタイのバンコクなどとは違い、日本人向けのサービスは当時も(今でも)ほとんどなかったので、駐在員の間で評判になった。

 日本の大手進学塾で使っているテキストを参考にして教え、帰国子女枠を使った私立中学受験を中心に指導したところこれが大当たり。生活費は十分に稼げるようになったという。