眠れぬ夜があった氷点下ビールの開発

市場を急拡大する「アサヒスーパードライ エクストラコールド」の秘密

2013.03.18(Mon) JBpress
筆者プロフィール&コラム概要

──タワーはすんなりと決まったわけですね。

佐藤 いえ、最初にタワーを採用する段階で2つの候補があって、どちらを選択するかという話になりました。技術部門と営業部門で意見が分かれたんです。

 現在のタワーは全体を凍らせていますが、凍らせる部分がもっと小さいタワーの候補もあったんです。実は、技術部門はそちらを採用したいという意見でした。

──なぜですか。

佐藤 凍らせる表面積が小さければ、冷却のためのエネルギーが少なくて済みます。機材も小さく安く上がります。一方、凍らせる面積が大きいと機材も大きくなり、メンテナンスも大変になります。

──それなのに、なぜ全体を凍らせるデザインのタワーにしたのですか。

佐藤 営業部門が社内で試験的にエクストラコールドを出したことがあります。タワーも温度表示もない状態で、黙って出した。すると、ビールがマイナスの温度帯で提供されていることに気がつかない社員が多かったそうです。

 いつもは4度とか6度で出しているビールをマイナス2度で出しても、なかなか気づいてくれないんですね。“冷たさ感”は正直なところ分かりにくいんです。

──氷点下だということを視覚的にはっきり伝える必要があったということですね。

佐藤 タワーの見た目や温度表示で冷たさ感を出すと実感できる。そこで、シズル感のある現在のタワーを採用することになったというわけです。

エクストラコールドの泡はなぜクリーミーなのか

──氷点下にしても、ビールの味は変わらないということですか。

佐藤 飲料店さんで飲んでくださるお客様からは、「泡がクリーミーだ」「スッキリしている」という声をよくいただきます。

 実は氷点下にすると泡の大きさが小さくなるんです。8度のビールだと泡の大きさは平均0.1ミリ程度です。一方、マイナス2度だと平均0.06ミリぐらいになって泡密度が上がります。だからキメ細かくクリーミーな泡になるというわけです。

 また、当社の「官能パネリスト」(味を評価する専門家)を集めてビールを飲み比べてもらったところ、8度よりマイナス2度のビールの方が苦味が少なく炭酸感を感じるという評価が出ています。

──それをきちんと実感してもらうためにも、氷点下のビールであることを視覚的に伝える演出は大切なんですね。いま、エクストラコールドを出す飲料店は全国にいくつあるのでしょうか。

佐藤 現在、全国に約3000店あります。

──最後に今後の展開について教えてください。

佐藤 2013年は4月から新たな機材で展開します。強い風を当てて樽ごとマイナス2度まで冷やす空冷システムの機材を開発しました。今年はこの機材を投入し、累計お取り扱い店数5000店を目標としています。2~3年のうちに1万店にもっていきたいですね。

──進化は止まらないんですね。どうもありがとうございました。

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