眠れぬ夜があった氷点下ビールの開発

市場を急拡大する「アサヒスーパードライ エクストラコールド」の秘密

2013.03.18(Mon) JBpress
筆者プロフィール&コラム概要

 特に当社では、主力のビールブランド「スーパードライ」について、新たな価値提供が求められていました。そのような中、エクストラコールドの開発が始まりました。

──アサヒビールが機材の開発を始めたのはいつですか。

佐藤 2008年です。

──今から5年前ですね。開発チームの中で佐藤さんはどんなことを担当されたんですか?

佐藤 主に「C3ユニット」の開発です。設計から量産、展開、展開後のトラブル対応までをすべて担当しました。

──C3ユニットとは何ですか。

アサヒビール研究生産本部 容器包装研究所 機器開発部 副課長の佐藤善典氏

佐藤 ペルチェ素子を使ってビールを氷点下に冷やすための機材です。「C3」は「コンパクト(Compact)」「コントロール(Control)」「クーリング(Cooling)」の「3つのC」という意味です。

──ペルチェ素子は、小型冷蔵庫や電子機器などの冷却に使う電子部品ですね。ビールの冷却のために最初からペルチェ素子を使うことになっていたんですか。
(注:ペルチェ素子は2種類の金属を接合した電子部品。電流を流すと片方の金属からもう片方の金属に熱が移動する。つまり片方の金属は熱くなり、片方の金属は冷たくなる)

佐藤 いえ、エクストラコールドを提供する機材としてアサヒビールが最初に開発したのは「ベーシックタイプ」というシステムでした。これはビールを冷やすために特殊な冷却液を使っていました。

 仕組みとしては、マイナス2度の冷却液の中をチューブがコイル状に走っています。そのチューブの中をビールが通ることで、氷点下に冷却されるという仕組みです。2008年から開発を初めて、2010年に完成しました。

 当初、このベーシックタイプの機材を約600店の飲料店に置かせてもらい、エクストラコールドを展開したのですが、問題が出てきました。機材がとても大きかったのです。つまり、ビールを氷点下まで冷やすために、冷却液の中を複数回通さなければなりませんでした。そのため、システムの横幅が1800ミリもあって、飲料店によっては設置できないところもありました。そこで、「もっと機材を小型化しよう」という話になったのです。

──新しい機材でもっと強力に冷却しようということですね。その際、なぜペルチェ素子を使うことになったのですか。

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