眠れぬ夜があった氷点下ビールの開発

市場を急拡大する「アサヒスーパードライ エクストラコールド」の秘密

2013.03.18(Mon) JBpress
筆者プロフィール&コラム概要

佐藤 時間のないことが何よりも大変でした。2010年5月にベーシックタイプで飲料店への展開を始めて、10月ぐらいに「機材の小型化が必要だ」という話になりました。そして12月に小型化機材の開発に着手したんですが、翌年の5月から新しい機材で展開するというスケジュールが決まっていたんです。だから、機材の量産まで実質4カ月ぐらいしかありませんでした。

──4カ月というのは短いですね。

佐藤 いちばん苦労したのは、アルミブロックの温度をマイナス2.3度に安定させることです。アルミブロックに温度計を十数個取り付けて温度を測り、その温度を基に、ビールがマイナス2度で出ていくように制御するんです。その制御が、なんど実験してもなかなか安定しなかったんです。

 開発の期限は絶対に決まっていたので、本当にできるのかどうか不安でたまりませんでした。正直言って夜も寝付けませんでしたね。あの温度計をもっとずらせばいいのかな、もしもできなかったら僕はどうなるのかな、なんて心配事ばかり頭に浮かんで。

──大きなプレッシャーがかかっていたんですね。

佐藤 また、研究所でのテストが終わった後、実際に飲料店さんで展開を開始したのですが、当初、温度を安定させるプログラムにミスが見つかったんです。そのときは東京でまだ20~30店だけの展開だったので、自分でパソコンを持ってお店に行き、軒先でプログラムを修正して回りました。

──佐藤さんが自分で行って直したんですか。

佐藤 はい。私の手だけでは足りなかったので、機器開発部のスタッフにもパソコンとソフトをわたして、こういう手順で書き換えてくれとお願いしました。みんなで手分けして全部の店を回りました。

冷たさを目で伝えるタワー

──エクストラコールドを扱うようになった飲料店はビールの売り上げが増えているそうですね。

佐藤 エクストラコールドだと飲みやすくて杯数が増える、といったお客様からのお声もいただいていますし、通常のビールより値段を少し高めに設定していらっしゃるお店も多いようです。

──ビールを注ぐタワーの演出効果も大きいですよね。タワーの表面が凍っていて、いかにも冷たいビールだということが伝わってきます。あのタワーもアサヒビールが開発したのですか。

佐藤 タワーは既製品です。イタリアのチェリ社という会社が作っているタワーを購入しています。

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