いまから10年ほど前、京都・祇園の名物芸妓だった岩崎究香さんにお会いして、「日本の名経営者は女が作る」という話を聞いたことがある。名経営者であるためには作法を心得ていなければならないが、超多忙な経営者に自ら作法を学ぶ余裕も時間もない。それを教えるのが祇園の芸妓の役割だと言うのである。
東証一部上場企業の最年少社長
この話をふと思い出したのにはわけがある。昨日インタビューしたリブセンスの村上太一社長という新進気鋭の若手経営者を作り出したのが、まさしく女性だったからだ。
村上社長は1986年生まれの25歳。リブセンスはこの10月1日に東証一部上場企業となる予定で、東証一部の最年少社長の記録を塗り替えることになる。
リブセンスは、就職や転職のための情報や不動産の賃貸物件、中古車情報などを提供するITサービス業。
ユニークなのは、同社の収入が成功報酬型で、例えば就職や転職なら、同社のサイトを通じて採用が決まった時点で、その企業から手数料が入る仕組み。
これまでの就職・転職サイトは、採用が決まろうが決まるまいが情報を載せるだけで掲載料を徴収されるのが一般的だった。
それを成功報酬型に変えたことで、採用情報を提供する企業にとっては劇的な変化が生じた。つまり、採用情報を載せるだけなら無料になったということだ。
効果のよく分からない広告出稿のような形での支出を強いられることがなくなり、採用情報を気楽に掲載できるようになった。
一方、就職や転職する側にも人間の心の機微を読んだ心憎いサービスを提供している。同社のサイトを通じて採用が決まると、企業からもらう手数料の一部を祝い金(最大2万円)として採用される側に還付しているのだ。
たとえわずかな金額でも祝い金をもらって嬉しくないはずがない。そうした仕組みが口コミを中心に広がってリブセンスは2006年の創業からわずか6年で東証一部企業への階段を駆け上がった。