サムスン電子がドイツの展示会に出品しようとした有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビ2台が、輸送途中で突然消えてしまう事件が発生して韓国で大きな話題になった。何者かが持ち去ったとの見方が強い。狙いは、最先端技術だったのか?
前代未聞の有機ELテレビの「蒸発事件」が起きたのは2012年8月末。サムスン電子はベルリンで開催された欧州最大の家電展示会IFAで展示するために2回に分けて55台の有機ELテレビを仁川国際空港からフランクフルト空港に向けて空輸した。
展示会場に向かう途中で「蒸発」
第1便の25台は何の問題もなく展示会場に届いた。ところが、第2便で送った30台のうち2台がなくなっていることに気付いた。
韓国メディアによると、フランクフルト空港からベルリンまでの輸送中に2台が「消えた」可能性が高いという。サムスン電子がテレビがなくなったことを現地警察に届け出ており、紛失か盗難かを現地警察が捜査中だという。
現時点では、単純な紛失なのか、何者かが持ち去った盗難なのかは分からない。韓国紙デスクは「テレビが消え去ってから2週間以上も経ったのに見つからないのだとすれば、単純な紛失の可能性は低い」と語る。
盗難だとすれば何者が、何のために持ち去ったのか? 新製品を狙う盗難だったのか? あるいは、新技術目当ての「産業スパイ」の犯行だったのか?
韓国の経済界では、いろいろな説が入り乱れて、大きな話題になっている。
次世代テレビ「世界初」をかけて激しい先陣争い
何と言っても、有機ELテレビは、液晶テレビに代わる次世代のテレビとして、世界中の有力企業が開発の最終段階で激しく先陣争いを演じている。
サムスン電子は2012年5月に「世界初」と銘打って、55型の有機ELテレビを韓国国内で発売すると発表した。