マット安川 今回はゲストに元外交官・佐藤優さんを迎え、竹島をめぐる日韓問題の現状を伺いました。「意外としっかりしている」という官邸の対応は、実際に関係閣僚にアドバイスされているからこその評です。

李明博大統領の狙いは韓国帝国主義の礎を作ること

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:佐藤優/前田せいめい撮影佐藤 優(さとう・まさる)氏
元外交官、文筆家。インテリジェンスの専門家として知られる。第38回大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞した『自壊する帝国』の他、『獄中記』『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』『3.11 クライシス!』『世界インテリジェンス事件史』など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)

佐藤 2国間問題を超えた女性の人権に関する普遍的な問題として扱う必要がある・・・。韓国の李明博大統領は8月15日の演説で、慰安婦問題についてこのように言及しました。

 日本のマスコミや政治家はほとんど理解していませんが、この発言は韓国がとんでもない謀略を巡らしていることを意味しています。一言でいえば、日本はナチスドイツのような国だと印象づける世界的キャンペーンを張ろうとしているんです。

 ナチスドイツはユダヤ人女性に対して、麻酔をかけずに子宮を取り出す強制避妊のほか、病原菌を植え付けたり、極寒の中に放置したり、血液に塩水を入れたり、といった人体実験を行いました。

 従軍慰安婦問題も同様の人道上の罪であると強調することで、日本=ナチスドイツという流れを作ろうとしている。韓国国会は外交通商統一委員会でそのための決議までやっているんです。

 韓国について日本で言われていることには間違いが多すぎます。例えば李明博大統領の最近の動きは、任期切れを前に自己保身を図っているのだと言われますが、全然違う。

 自伝を読めば分かりますが、彼はもっと腹の据わった男です。その行動の背景には韓国を立て直したいという思いがある。過度の競争にさらされて不適応症を起こす子どもたくさんいることなどは象徴的ですが、韓国は今、構造的な危機に直面しているんです。

 李明博大統領が歴代大統領で初めて竹島に上陸したのは、いわばプチ帝国主義宣言です。